キュレーションメディア
- キュレーションメディアとは
-
ウェブ上のコンテンツを、ある特定のテーマや切り口で読みやすくまとめ、編集・共有・公開するサービスやウェブサイトの総称。人の手によってまとめられるほか、閲覧者の興味や関心に応じて、自動的に収集・編集されるものもある。キュレーティングサービス。キュレーションサイト。キュレーションメディア。まとめサイト
- SEOでは、まとめサイトのことを指します。
略歴/流れ
インターネットの普及に伴い、ネット上の情報は加速度的に増加しています。
検索しても検索結果が多すぎたり、ピンポイントで知りたい情報にアクセスできないなどの問題が出はじめたことから、それらを解決し、ユーザーのニーズを満たすために誕生したのがキュレーションメディアです。
現在は多種多様なキュレーションメディアがあり、誰でも知りたい情報へのアクセスが容易になった反面、キュレーションメディアが多すぎて検索結果に同じような情報が並んだり、場合によっては間違った情報が拡散されるなどの問題も出ています。
種類・定義
キュレーションメディアとは、特定のテーマやジャンルの情報をインターネット上から検索・取捨選択して、読者の知りたい情報を分かりやすくまとめたメディアやウェブサイトを指します。
例えば「ペット 飼いやすさ」で検索してどのペットが飼いやすいのか知りたいユーザーに対して、色々なペットの飼いやすさについての情報をウェブ上から集め、整理して1つのページで分かりやすく情報をまとめたものがキュレーションメディアです。
テーマ・ジャンルは運営元によって異なり、ニュースに特化したものや、ビジネス、ライフスタイル全般、エンタメなど多岐に渡ります。
キュレーション方法は大きく分けて3つあり、
- キュレーターが人力でまとめる
- アルゴリズムを用いる
- ユーザーが投稿し、参加する
といった手法がとられています。
キュレーターが人力でまとめる
人が作業するため、読者の共感を得やすく、細かいニーズに応えられるといったメリットが挙げられます。
しかし、キュレーター要員を確保する必要があり、コストと手間を継続的に負担する必要があります。
アルゴリズムを用いる
ユーザーのサイト内行動などの分析データをもとに、アルゴリズムやAIが自動的にまとめる手法です。
開発や導入の初期投資が必要になりますが、大規模メディアであれば効率化が期待できます。
ユーザーが投稿し、参加する
ユーザーがSNSなどに投稿し、それらの情報を監修する方法です。情報量が多く、テーマも無数にある反面、断片的な情報をチェックしてまとめるため、ある程度の知識や専門性が必要とされます。
キュレーションという言葉は、美術館や博物館などで特定のテーマごとに作品を選別して展示する「キュレーション」から来ており、選別する人(学芸員)をキュレーターと呼ぶことから、キュレーションメディアの記事を作成するライターをキュレーターとも言います。
代表的なキュレーションメディアとしてグノシー、Smart News、NAVERまとめが挙げられます。
関連する単語の紹介
まとめサイト
まとめサイトは、掲示板の書き込みや、SNSの反応、様々なサイトの情報を整理し、まとめたサイトのことです。
キュレーションサイトとの明確な区別はないとされていますが、掲示板からの書き込みを主軸としているものが多いです。
バーティカルメディア
バーティカルメディアは、特定の分野だけに特化したメディアです。代表的なものとして、食の中でも料理レシピに特化したクックパッドが挙げられます。
バイラルメディア
viralとはウイルスのようなという意味を持ちます。
インパクトのある画像や、ユーザーの興味を惹きやすい話題を軸にして、ウイルスのようにSNSなどで拡散されることで収益を得ることを目的としたメディアです。
オウンドメディア
オウンドメディアとは、自社サイトや自社発行の広報誌など、企業が消費者に直接発信するメディアです。
企業が自ら行うため、消費者の信頼を得やすく、ブランディングの確立も容易なことから、オウンドメディアに特に力を入れている企業も多くあります。
アーンドメディア
earnedは「獲得する」という意味です。アーンドメディアは、外部のレビューサイトの利用やSNS投稿によって顧客を獲得する広告手法を指します。
レビューなど、外部サイトや一般消費者の口コミに頼る場合、客観的な評価が得られる反面、炎上などのリスクもあり、企業によるコントロールが難しい場合があります。
ペイドメディア
ペイドメディアは、企業が費用を払って広告を掲載する従来型の手法と言えます。不特定多数の目に留まりやすく、認知度を上げやすいというメリットがあります。
トリプルメディア
トリプルメディアは、オウンドメディア・アーンドメディア・ペイドメディアの3つを合わせたマーケティング手法です。
トリプルメディアを有効活用することで、より多くの集客が期待できます。
一般的な活用方法、様々な目線から紹介
ユーザーからすると、キュレーションメディアは欲しい情報が整理された状態で見られるため、自分で一から情報を探すよりも効率的に情報を集めることができます。
また、興味のあるジャンルの新しい記事が次々に出るため、最新の情報を手早く得ることもできます。
運営者にとっては、既存の情報をまとめるだけで済むため、取材やリサーチの必要がなく、記事の作成もクラウドソーシングサービスなどを利用して、一般人に安価で依頼することができるため、コストを抑えながら量産することが可能です。
ジャンルやテーマを絞ることでターゲット層を明確に絞れるため、一般的なウェブサイトよりもアクセス数を伸ばしやすい可能性が高くなります。
ただし、キュレーションメディアは参入者が多く、既に多数のユーザーに支持されているメディアも多いため、ユーザーの獲得には戦略が必須です。
キュレーションメディアの優位点・メリット・注意点
キュレーションメディアは検索エンジンからの検索による閲覧がメインなので、SNSへの依存度が低く、安定した集客が期待できます。
ユーザーにとっても欲しい情報へのアクセスが容易なため、一般的なウェブサイトよりもアクセス数を伸ばしやすい傾向にあります。
その一方で、インタビューや取材をせずに、ネット上の情報だけで書かれたものが多く、信頼性・信憑性に欠けるものも多く存在し、安価で記事の作成を請け負ったキュレーターによる低品質な記事も見られます。
運営側・ライター側の知識不足やモラルの欠如から、著作権侵害の可能性は常に存在し、たびたび問題になっています。
その他関連する話
キュレーションメディアの問題が大きく取り上げられた事例は、
- WELQ
- BuzzNews
- 保守速報
などがあります。
WELQ
ヘルスケアの情報をまとめたサイト「WELQ」は、かえって健康に悪影響を与えるなどの問題がある記事が多いことで炎上。
さらに、医薬品医療機器法(旧薬事法)に違反している可能性があるとして、東京都は2016年12月に聴取を行いました。これを受けて運営元のDeNAは全ての記事を非公開とし、最終的に関係幹部が辞任する事態となりました。
また、この一連の問題を受け、他社のキュレーションメディアも記事を非公開、または削除するなど、業界に大きな影響を与えました。
BuzzNews
BuzzNewsが記事の盗用、および画像の無断転載をしているとして、複数のライターが運営元の株式会社ウェブテック・アジアに対し、「非を認めて和解するか、訴訟に持ち込むか」と迫る事態に発展しました。
BuzzNews側は著作権侵害を認めて謝罪文を掲載し、被害者への和解金の支払いに応じました。
保守速報
まとめサイト「保守速報」の記事内で、差別的な内容で名誉棄損されたとして、フリーライターの李信恵さんが「保守速報」の管理人を提訴。
大阪地方裁判所はこの訴えを認め、また「保守速報」自体が日本国憲法第13条における人格権を侵害したとして、200万円の損害賠償を命じる判決を下しました。