ネットショップを始めるにあたり、どのECプラットフォームで出品したら良いか悩む方も多いでしょう。
特に、ECモール最大手のAmazonと楽天市場は日本国内で高いシェアを誇りますが、手数料や配送サービスなどさまざまな点に違いがあります。
また、それぞれにメリット・デメリットが存在するため、特徴や違いを把握してから選択するのが望ましいです。
そこで本記事では、Amazonと楽天市場について、両者の違いやそれぞれの魅力を出店者目線で解説します。
出品するECモールを選ぶ際の参考にしてみてください。
Amazonと楽天市場の基本情報と出店方法

Amazonは、1994年に設立された世界最大のEコマース企業で、日本では2000年にサービス提供を開始し、書籍、家電、日用品などの分野で強みを持ちながら、急速に成長を続けているプラットフォームです。
楽天市場は、1997年に設立した日本最大のEコマースプラットフォームで、「楽天経済圏」と呼ばれる独自のエコシステムを構築し、多岐にわたるサービスを展開しています。
楽天市場では食品、ファッション、美容関連商品などで強みを発揮しているのが特徴です。
Amazonと楽天市場、それぞれの出店方法について見ていきましょう。
Amazonの出店手順
Amazonでの商品出品は主に以下のステップで行います。
- Amazonアカウントを作成する
- Amazon出品用アカウントを登録する
- 出品者プロフィールを設定する
- 出品商品を登録をする
Amazonの場合、必要な情報を提供すれば、わずか3営業日で審査が完了するため、ビジネスを始める速さでいうと、楽天よりも優れています。
楽天市場の出店手順
楽天市場への出店は以下のプロセスで進めます。
- WEBから出店を申し込む
- RMSアカウントを作成する
- 開店準備後、開店前審査を受ける
- 審査終了後、ECサイト運営を開始する
Amazonとは対照的に、申込から開店まで時間がかかるのが特徴です。
申込審査に2週間〜1ヶ月程度、開店前審査にさらに3週間〜1ヶ月を要するため、出店計画は余裕を持って行うようにしましょう。
出店側から見たAmazonと楽天市場の違い9つ

ここからは、出店者側から見る、Amazonと楽天市場の違いを9つのカテゴリー別に解説します。
- 市場規模
- 出品方法
- 審査難易度
- 商品ページのカスタマイズ性
- 出品手数料と月額料金
- 広告・プロモーション
- 配送サービス
- キャンペーン
- アフターサービスやサポート体制
どこで出店すれば良いか悩んでいる方は、ぜひそれぞれの項目をチェックしてみてください。
市場規模の違い
Amazonと楽天市場を市場シェアで比較してみると、2022年の国内ECサイト市場においては以下の通りです。
- Amazon:28.2%(国内シェア1位)
- 楽天市場:25.1%(国内シェア2位)
また、2022年度のAmazonと楽天の国内EC流通総額は以下になります。
- Amazon:約6兆円
- 楽天:約5.6兆円
なお、Amazonは日本でも海外セラーが多く出品しているのに対し、楽天市場は主に日本国内の事業者を中心に構成されている点でも違いがあります。
出品方法の違い
Amazonと楽天市場では、ビジネスモデルに大きな違いがあり、Amazonは「商品を出品」するマーケットプレイス型のECモールであるのに対し、楽天市場は「店舗を出店」するテナント型のECモールです。
Amazonは商品ページの規格が統一されており、楽天市場は自由に商品ページを作れることから、自由度が高い楽天の方が、ユーザーがそれぞれのショップで購入したという意識が強くなります。
審査難易度の違い
マーケットプレイス型のAmazonは、審査ハードルが低いのが特徴で、本人確認のみの簡易的な審査を通過しさえすれば、Amazonに出品が可能です。
審査にかかる時間は最長でも3日程度とスピーディーに出品できます。
一方、テナント型の楽天市場は審査がかなり厳しいとされています。
本人確認だけでなく、販売する商材に関する審査も実施されたり、個人事業主が出店する場合は追加書類の提出が求められたりと、審査が厳しく手間がかかりますが、その分ユーザーにとって信頼性が高くなり、購入に至りやすいというメリットもあるでしょう。
商品ページのカスタマイズ性の違い

ユーザーの購買決定に大きな影響を与える商品ページのデザインや掲載方法について、Amazonと楽天市場では自由度が大きく異なります。
Amazonの商品ページは、基本的に統一されたフォーマットで構成されているので、カスタマイズの余地はほとんどありません。
一方、楽天市場はHTMLやCSSを使用した自由度の高いカスタマイズが特徴となっており、独自のページデザインによって他の事業者と差別化し、商品をより魅力的に伝えることが可能です。
そのため、ブランディングを重要視する事業者にとっては楽天市場の方が適しているでしょう。
出品手数料と月額料金の違い
Amazonに出店するにあたり、2つの出店プランから選ぶことになりますが、登録手数料と販売手数料は以下のようにプランによって異なります。
項目名 |
大口出品 |
小口出品 |
登録手数料 |
4,900円/月 |
100円/回 |
販売手数料 |
8~15% |
‐ |
月間49回以上商品を購入されるような場合には、小口出品よりも大口出品の方が安く済みます。
一方、楽天市場はプランによって費用が変わり、月額出店料やシステム利用料は以下の通りです。
項目名 |
がんばれ!プラン |
スタンダードプラン |
メガショッププラン |
月額出店料 |
25,000円(税抜) |
65,000円(税抜) |
130,000円(税抜) |
システム利用料 |
月間売上高の3.5〜7.0% |
月間売上高の2.0〜4.5% |
月間売上高の2.0〜4.5% |
さらに、楽天市場ではどのプランでも初期登録費用として66,000円(税込)が発生するため、Amazonと比べると出店にかかる費用が高くなります。
広告・プロモーションの違い
広告での宣伝は、商品ページへのアクセス強化やモール内でのSEO強化などに役立ちますが、プロモーション方法もAmazonと楽天市場で以下のように特徴が異なります。
Amazon |
楽天 |
Yahoo |
主な広告サービス |
・スポンサープロダクト広告:検索結果ページや商品詳細ページなど、Amazon内に表示。関連商品を探す購入者にリーチ。 ・スポンサーブランド広告:ブランドと商品ポートフォリオの紹介。ブランドロゴやカスタム見出し、一部商品が検索結果に表示。 ・スポンサーディスプレイ広告:セルフで作成した広告をAmazon内外に掲載。購買行動に基づき関連性の高いユーザーにリーチ。 ・ストア:各ブランド向けにカスタマイズされた追加費用無料のランディングページ。ブランドストーリーや商品を手軽に紹介。 |
・RMP – Sales Expansion:楽天市場の検索結果に表示される検索連動型の広告。 ・RMP – Brand Gateway:ブランド紹介のディスプレイ広告。 ・RMP – Showroom:クーポンなどのプロモーションを表示できるディスプレイ広告。 ・RMP – SEM:大手検索エンジンの検索結果に表示される検索連動型広告。 |
このようにさまざまな広告サービスが用意されており、モール内外問わず宣伝が可能です。
Amazonではクリック課金制が多いのに対し、楽天の広告は種類によって固定費がかかるものもあります。
配送サービスの違い
Amazonは自社発送といって、手元にある商品をAmazonを介さずに直接購入者に発送する方法のほかに、FBA(Fulfillment by Amazon)というサービスを利用できます。
FBAとは、商品の保管、梱包、発送を丸ごとAmazonに委託できるシステムで、料金体系も分かりやすいです。
一方、楽天市場は自社発送のほか、RSL(楽天スーパーロジスティクス)を利用できます。
RSLは、楽天市場で売れた商品を楽天市場の倉庫から発送するサービスで、出荷指示を行えば梱包や発送などの作業を任せられます。
キャンペーンの違い

当然ながら、Amazonと楽天市場では行っているキャンペーンやセールが異なります。
Amazonでは年に一度のビッグセールである「Amazonプライムデー」が有名ですが、他にも「ブラックフライデー」や日替わりで商品が変わるタイムセールなど、季節ごとにセールが行われているのが特徴です。
一方、楽天市場では年に4回開催の「楽天スーパーセール」をはじめ、ほぼ毎月開催の買えば買うほどポイントが貯まる「お買い物マラソン」など、定期的にキャンペーンやセールが行われており、出店者の売上増加に貢献しています。
セールの頻度で言うと、楽天市場の方が多いでしょう。
アフターサービスやサポート体制の違い
出店・出品に際して困ったことがあったときに、必要なサポートが受けられるかは重要ですが、出店者向けのサポート体制についても、両プラットフォームで異なります。
Amazon |
・セラーセントラルを通じたオンラインサポートが中心 ・自動化されたシステムによる効率的なサポート ・公式SNSから出品サービスについて学べる |
楽天 |
・専任のコンサルタントによる個別サポートが充実 ・対面でのコンサルティングや無料のECセミナーなど、きめ細かいサポートが特徴 |
Amazonでは、セラーセントラルといって、出品に関する情報がまとまっているポータルサイトにアクセスして不明点を解決でき、楽天市場では人的サポートが充実している点が特徴です。
Amazonと楽天市場の出店メリット・デメリット

Amazonもしくは楽天市場への出店を検討している事業者の方は、両者のメリットやデメリットを把握し、比較することが重要です。
それぞれ紹介していきますので、出品者に合ったプラットフォームを選択しましょう。
Amazonで出品するメリット・デメリット
Amazonに商品を出品する主なメリットやデメリットは以下の通りです。
メリット |
デメリット |
・多くのユーザーに向けて出品できる ・FBAにより効率的な物流管理が可能 ・海外のユーザー層にもリーチしやすい |
・価格競争が激しい ・独自のブランディングが難しい ・頻繁にAmazonのポリシーや手数料体系が変更する |
Amazonの特筆すべき点は利用者数の多さであり、国内外のユーザー層にリーチすることができるほか、新規ユーザーの獲得や売上の拡大も期待できます。
一方で、商品ページがフォーマット化しているため独自ブランディングが難しく、同業他社との差別化が難しいというデメリットもある点を覚えておきましょう。
楽天市場に出店するメリット・デメリット
楽天市場に出店する主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット |
デメリット |
・独自のデザインやブランディングが可能 ・セールやイベントで店舗の露出を増やせる ・楽天経済圏を活用して集客できる |
・審査に時間がかかる ・初期費用と運営コストがかかる ・ある程度のマーケティングスキルが必要 ・頻繁に開催されるセールやイベントへの対応が必要 |
日本国内シェア2位を誇る楽天市場は、出店者が独自の商品ページを行えるため、ショップの個性を反映させた店舗展開ができるほか、大規模なセールやイベントに参加することで露出を高められます。
しかし、初期費用と運用コストがAmazonよりも多くかかる点や、競争が激しい環境の中で売上を伸ばすには一定のマーケティングスキルが求められる点を考慮した方が良いでしょう。
結局Amazonと楽天市場どちらで出店するべきか

ここまでAmazonと楽天市場を比較しましたが、結局どちらで出店するべきなのか悩む方も多いでしょう。
結論から言うと、それぞれのプラットフォームで特徴が異なるため、目的によって選ぶのが望ましいです。
目的別に見るおすすめのプラットフォームは以下になります。
- スピーディーかつ低コストで商品を販売して売上を伸ばしたいなら「Amazon」
- 商品の魅力や店の独自性を訴求して売上を伸ばしたいなら「楽天市場」
また、Amazonと楽天市場両方を併用することも可能なので、さまざまな利用方法を検討しましょう。
Amazonと楽天市場それぞれの強みを理解しよう

Amazonと楽天市場は、それぞれ異なる特徴と強みを持っています。
そのため、出店先を選ぶ際は自社ブランドの特性や運営体制、ターゲットとするユーザー層を考慮しながら目的に合ったプラットフォームを選ぶことが重要です。
Amazonや楽天の出店に関わるサポートはSirPrizeにお任せください。
弊社のコンサルティングにご依頼いただければ、これまで培ってきた専門的な知識とノウハウを駆使し、以下のようなショップ運営に関わるさまざまな悩みを解決に導くことが可能です。
- どのプランが自社ショップに合っているかわからない
- 収益アップに繋がる魅力的な商品ページにするための知識やノウハウが自社にはない
- ECモールでのクーポン施策や広告運用などは得意な会社に任せたい
- サイトの口コミ・SEO施策を最低限レベルまで実行してほしい
- 戦略設計や業務委託までまるっとお願いしたい
まずは出店相談から、お気軽にご連絡ください。

まずは無料資料請求して、疑問点を解消。
パンフレットを確認してから出店のお申込みをしてみましょう!