毎日は病気?赤ちゃんのしゃっくりが止まらない原因と解決策を紹介

「赤ちゃんが毎日のようにしゃっくりをするけど、何かの病気だろうか」と心配している人もいるのではないでしょうか。
とくに、月齢の低い赤ちゃんは、頻繁にしゃっくりをするため、かわいそうに感じることもあるでしょう。
この記事では、赤ちゃんのしゃっくりの原因や対策方法、病気の可能性と見極め方を解説しているので、ぜひお子さんのしゃっくりが気になる人は参考にしてみてください。
赤ちゃんが毎日しゃっくりするのは病気?

赤ちゃんは身体の作りが未発達のため、頻繁にしゃっくりがでてしまいます。
基本的には病気の心配はありませんが、病気が原因でしゃっくりが出ることもあるため、注意深く様子を観察することが大切です。
まずは、赤ちゃんのしゃっくりの原因を紹介します。
赤ちゃんのしゃっくりの原因
あまりにも頻繁に、長時間しゃっくりを繰り返していると、「何が原因なんだろか」と気になりますよね。
一般的に赤ちゃんのしゃっくりは、横隔膜が未発達なためといわれています。
あかちゃんがしゃっくりをする主な原因の下記3つを紹介するので、当てはまる物はないか確認してみてください。
- 横隔膜の発達が未熟だから
- 授乳時に空気を飲み込んでいる
- 身体が冷えている
横隔膜の発達が未熟だから
しゃっくりは、横隔膜が痙攣することで引き起こされます。
さきほどもお伝えしたように、赤ちゃんは身体の作りがまだ未熟で、大人のように機能していません。
横隔膜の発達がまだ未熟なので、少しの刺激ですぐ横隔膜が痙攣を起こし、頻繁にしゃっくりがでてしまいます。
授乳時に空気を飲み込んでいる
月齢の低い赤ちゃんは、まだ授乳になれていないません。
母乳と一緒に空気を飲み込んでしまうため、胃が過剰に膨らみ、横にある横隔膜を刺激してしゃっくりがでてしまうのです。
哺乳瓶でミルクを飲んでいる場合、母乳よりも空気を飲み込みやすいので、より頻繁にしゃっくりが起きる可能性があります。
身体が冷えている
赤ちゃんは環境の変化に敏感で、おむつが濡れていたり、汗で下着が濡れたりすると、すぐ身体が冷えてしまいます。
身体が冷えると筋肉が収縮して、横隔膜を刺激するためしゃっくりが出やすくなることがあるようです。
室温に合わせて、赤ちゃんが快適に過ごせるよう衣服を調節してあげましょう。
しゃっくりが誘発される病気

これまでは一般的なしゃっくりの原因を紹介しましたが、病気が原因でしゃっくりを誘発することもあります。
横隔膜を刺激する病気や、横隔膜をコントロールする神経に問題があると、しゃっくりが頻繁におきたり、止まらなくなったりすることもあるようです。
赤ちゃんのしゃっくりを誘発する、以下6つの病気について解説します。
- 肺炎
- 呑気症
- イレウス
- 肝芽腫、腎芽腫
- 髄膜炎、脳炎
- てんかん
肺炎
身体が丈夫ではない赤ちゃんは、風邪から肺炎に移行してしまうことがあります。
横隔膜は肺のすぐ下にあるため、肺炎を発症すると、その刺激からしゃっくりが誘発されることも少なくありません。
肺炎によるしゃっくりは、呼吸困難を引き起こすため、いつもと違う様子が見られたら、すぐ病院を受診しましょう。
呑気症
呑気症(どんきしょう)は、空気を過剰に飲み込んでしまう病気です。
赤ちゃんは、授乳や泣いた際に空気をたくさん飲み込んでしまうと、呑気症によって胃が膨らみ横隔膜を刺激するため、しゃっくりが誘発されます。
呑気症を発症すると、腹部膨満、頻回なゲップ、嘔吐などの症状も見られるため、これらの症状が見られたら身体の右側を下にして寝かせ、様子を観察しましょう。
イレウス
イレウスとは腸閉塞のことで、腸管の一部が閉塞し、食べたものや胃液、ガス、腸液などが滞る病気です。
イレウスを発症すると、腹部が大きく膨らみ、横隔膜を刺激するためしゃっくりを誘発することがあります。
イレウスは発見が遅れると腸管の破裂や壊死を引き起こし、最悪の場合死に繋がる危険な病気なので、下記症状が見られた場合は早急に病院を受診してください。
- 10分~30分間隔で火が付いたように泣く
- 血便
- 嘔吐
- 便秘
- 腹部膨満
肝芽腫・腎芽腫
肝芽腫は肝臓に、腎芽腫は腎臓に発症する悪性の腫瘍です。
発症頻度は低いですが、赤ちゃんが発症すると進行が早く、腫瘍が急激に大きくなり横隔膜を刺激し、しゃっくりを誘発することがあります。
予後良好な場合の生存率は90%と非常に高いため、下記のような症状が見られたらすぐに病院を受診し、検査を受けて下さい。
- 血尿
- 腹部膨満
- 腹部のしこり
- 腹痛
- 急な嘔吐
- 発熱
髄膜炎・脳炎
赤ちゃんは、中耳炎や風邪が悪化すると、髄膜炎や脳炎を発症することがあります。
横隔膜をコントロールする神経に適切な指令が出せなくなるため、しゃっくりを引き起こすことがあるようです。
治療が遅れると後遺症が残ってしまうため、高熱が出ていてぐったりしていて返答がない、目が合わない、嘔吐を繰り返しているというときは、救急車を呼びましょう。
てんかん
てんかんは、神経細胞が過度な興奮状態になり、痙攣や意識消失を引き起こす病気です。
てんかんには先天性と後天性のものがあり、先天性のてんかんをもっている赤ちゃんは、けいれん発作が原因でしゃっくりが起きることがあります。
てんかん発作は薬で発症を抑えることができるので、下記の症状が繰り返される場合、病院を受診しましょう。
- れん縮発作:手足や頭に突然力が入る
- スパスム発作:うなずくような動作を繰り返す
- ミオクロニー発作:手足がぴくっと動く
赤ちゃんのしゃっくりが病気かどうか見極めるポイント

赤ちゃんのしゃっくりの原因に病気が隠れている可能性があると知ると、不安に感じますよね。
そこで、赤ちゃんのしゃっくりが病気が原因なのかどうかを見極めるポイントを3つ紹介します。
下記3つの症状が見られる場合は、病院を受診し、しゃっくりについて相談するのがおすすめです。
- 授乳や食事を嫌がる
- しゃっくりが原因で眠れない
- 長時間継続してしゃっくりをしている
授乳や食事を嫌がる
授乳や食事を嫌がる場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。
たとえば、イレウスや逆流性胃炎が起きているときは、授乳や食事を嫌がるケースが多いです。
また、食欲不振に嘔吐をともなう場合は、早急に病院を受診してください。
しゃっくりが原因で眠れない
眠れないほどしゃっくりが続いている場合は、何らかの病気を発症している可能性があります。
重篤な症状が隠れていることも考えられるので、速やかに病院を受診してください。
病院を受診する際は、いつからしゃっくりがでているのか、ほかに症状はないか答えられるようにしておきましょう。
長時間継続してしゃっくりをしている
2時間~3時間以上しゃっくりが続いている場合は、病院を受診するのがおすすめです。
しゃっくりに加えて、ぐったりしている、応答がない、目がうつろという場合、重篤な病気が隠れている可能性があります。
上記の症状が見られる場合は、小児科よりも救急外来を受診しましょう。
赤ちゃんのしゃっくりを止める方法

「しゃっくりの原因が病気ではない場合、どうやってしゃっくりを止めたらいいの?」と悩んでいる人もいるでしょう。
基本的に、赤ちゃんのしゃっくりは放っておいても構いません。
しかし、あまりにも苦しそうだという場合は、下記6つの方法を試してみてください。
- 授乳後にゲップさせる
- 身体を温める
- 背中をさすったり叩いたりする
- 一定のリズムであやす
- おむつを替える
- 授乳する
授乳後にゲップさせる
授乳後にしゃっくりが出ることが多いという場合、授乳時に空気を飲み込んでしまっているかもしれません。
授乳後にゲップをさせることで解消できる可能性が高いです。
ゲップをさせる際は、親御さんの肩にお子さんのアゴを乗せるように正面で抱き、背中をさすったり、トントンと叩いたりしてみましょう。
身体を温める
赤ちゃんの身体が冷えている場合は、体温が急激に下がったことでしゃっくりをしていると考えられます。
赤ちゃんの足の裏がひんやりしていたら、身体が冷えている証拠です。
部屋の中を温かくしたり、1枚多く着せたりして体温調節してあげましょう。
背中をさすったり叩いたりする
原因がわからないときは、背中をさすったり、トントンと叩いてあげてみてください。
ゲップが原因の場合は、背中をさすったり叩いたりすることでゲップが出て、しゃっくりが解消されるでしょう。
また、背中をさすったり叩いたりすると、身体が少しずつ温まり、冷えによるしゃっくりも改善できる可能性があります。
一定のリズムであやす
寝かしつけのときのように、一定のリズムであやすことも、しゃっくり改善におすすめです。
ゆらゆら一定のリズムで赤ちゃんをあやすと、リラックスしてしゃっくりがおさまることがあります。
赤ちゃんを抱っこして歩いてみたり、スクワットのように縦に揺れたり、横に揺れたり、赤ちゃんの好きなリズムであやしてみてください。
おむつを替える
おむつが濡れていると、身体が冷えてしまいます。
おむつが濡れている状態でしゃっくりをしている場合は、おむつ替えで解消するでしょう。
授乳する
原因がわからないときは、授乳をしてみてください。
とくに、赤ちゃんが空腹で泣いているときは、授乳でしゃっくりが解消される可能性が高いです。
赤ちゃんのしゃっくりを予防するポイント

赤ちゃんのしゃっくりが、事前に予防できるとうれしいですよね。
そこで、赤ちゃんのしゃっくりを予防するポイントを紹介します。
赤ちゃんのしゃっくり頻度が気になっている人は、ぜひ参考にしてみてください。
- 授乳量や食事量に気を配る
- 授乳姿勢を見直す
- 授乳後ゲップをさせる
授乳量や食事量に気を配る
胃がパンパンに膨れると、横にある横隔膜を刺激してしゃっくりを引き起こします。
そのため、授乳量や食事量をコントロールして、赤ちゃんに最適な量を探ってみましょう。
最適な量をあげられると、しゃっくりの頻度が激減するでしょう。
授乳姿勢を見直す
授乳姿勢が悪かったり、赤ちゃんに合っていなかったりすると、母乳と一緒に空気をたくさん飲みこんでしまいます。
適切な授乳量でも胃が膨らみ、しゃっくりがでてしまうため、赤ちゃんが飲みやすい体勢を探してみましょう。
無理なく飲める姿勢が見つかると、赤ちゃんだけでなく、お母さんも授乳が楽になります。
授乳後ゲップをさせる
低月齢の赤ちゃんは、自分でゲップをするのが苦手です。
ゲップをせずに放置すると、膨れ上がった胃が横隔膜を刺激し、しゃっくりが出てしまいます。
生後6か月くらいまでは、授乳後にゲップをさせて、しゃっくりを予防しましょう。
赤ちゃんのしゃっくりを止めるためにしてはいけないこと

最後に、赤ちゃんのしゃっくりを止めるためにしてはいけないことを紹介します。
下記2つは、しゃっくりが出た際の対処方法として紹介されていることがありますが、赤ちゃんにはおすすめできません。
しゃっくりとは異なるトラブルが発生する可能性もあるので、注意しましょう。
- うつ伏せにする
- 驚かせる
うつ伏せにする
「しゃっくりを止めたいときは、うつ伏せになると解消される」と紹介されているのを見たことがある人もいるでしょう。
しかし、しゃっくりを解消するために赤ちゃんをうつ伏せ姿勢に寝かせると、突然死症候群を引き起こす可能性があるためおすすめできません。
赤ちゃんの体位変換によってしゃっくりを解消したい場合は、身体の右を下にした、横向きの姿勢を維持するのがおすすめです。
驚かせる
赤ちゃんをびっくりさせると、憤怒痙攣(泣きひきつけ)を起こす可能性があります。
憤怒痙攣は1分~2分程度で収まり、後遺症や治療の必要はありません。
しかし、一度憤怒痙攣が起こると、1年間のけいれん発生頻度が増してしまうので、しゃっくりを解消するために赤ちゃんを驚かせるのはやめましょう。
赤ちゃんのしゃっくりは成長とともに減少するから放っておいてもOK

当記事では、赤ちゃんのしゃっくりの原因やしゃっくりに隠れた病気、しゃっくりを改善する方法、しゃっくりを予防する方法、してはいけないことを紹介しました。
赤ちゃんのしゃっくりは成長とともに減少し、2歳になる頃にはほとんど気にならなくなるため、放っておいても問題ありません。
しかし、少数ながらイレウスや脳炎などの重篤症状が発生する病気が隠れている場合もあるため、「赤ちゃんのしゃっくりが頻繁だ」というときは、よく状態を観察し、不安が大きければ病院に相談しましょう。