初心者のバイク整備には工具セットが便利!選び方のポイントとおすすめの工具

ライダーの中には、バイクの基本的な整備やメンテナンスを自身で行う方もいるでしょう。
ですが、バイクのメンテナンスやパーツ交換には、様々な工具が必要であるため、何を買うべきか分からない方も多いかと思いますが、初心者の方は、必要な工具が一通り取り揃えられている「工具セット」を用意しておくと便利です。
本記事では、バイク整備に必要な工具セットの選び方のポイントや注意点を解説します。
必要最低限揃えておくべき工具についてもご紹介しますので、この記事を参考にバイクメンテナンスに必要な工具を準備し、安全で快適なツーリングを楽しみましょう。
バイクのメンテナンスには工具が必須

バイクは機械であるため、メンテナンスを怠れば徐々に傷んでしまいます。
愛車のオイル交換やプラグ交換などの整備を自分で行うと愛着も増すでしょう。
バイクのメンテナンスを自分で行う場合、以下のように作業内容によって様々な工具が必要になります。
作業内容 | 頻度 | 必要な工具など |
---|---|---|
オイル交換 | 3,000kmごと(排気量による) | オイル、オイルフィルター、ドレンワッシャー、廃油受け、オイルフィルターレンチなど |
オイルフィルター交換 | オイル交換2回に1回のペース | オイルフィルター、オイルフィルターレンチなど |
バッテリー交換 | 2~3年程度(50,000km程度) | ドライバー、バッテリー |
チェーン掃除 | 1,000kmに1回程度 | ブラシ、チェーンクリーナー、チェーンオイルなど |
チェーン調整 | ・ノンシールチェーン…500~1,000kmごとに1回程度 ・シールチェーン…1,000~2,000kmごとに1回程度 | メガネレンチ、ソケット、六角レンチなど |
バイクの工具はセットと単品どちらが良い?

バイクの整備に必要な工具を揃える時に悩むのは工具セットを購入するか、1つずつ自分で選んで購入するかではないでしょうか。
ここでは、工具セットと単品購入それぞれのメリット・デメリットを説明していきます。
工具セットとのメリット・デメリット
工具セットには、主に以下のメリットとデメリットがあります。
メリット | デメリット |
---|---|
・工具を安く揃えられる ・必要な工具が一気に揃う ・様々な修理に対応できる ・工具ケース付きでまとめやすい | ・必要のない工具がある ・工具を買い足す必要がある ・精度が低く専門的な作業に向いていない |
工具セットは一挙に必要以上の工具が揃っている点が最大のメリットで、工具一つあたりの値段も高く、コストパフォーマンスに優れています。
また、管理と整理しやすいBOXタイプのものが多く、整理ができなくなり紛失するなどのリスクも減らせるでしょう。
一方、一つひとつの工具の精度が低い工具セットもあり、専門的な作業には向かないケースもあります。
工具を自分で揃えるメリット・デメリット
自分で必要な工具を単品で揃える場合、以下のメリットとデメリットがあります。
メリット | デメリット |
---|---|
・工具ごとに適したメーカーを選べる ・作業に必要な工具だけを選べる ・専門的な作業に向いている | ・急に修理が必要になった際に対応が難しい ・工具をまとめるケースが必要 ・初心者の場合どれを選べば良いか分からない ・費用が高額になる |
作業に応じて工具を自由に選べるため、使いやすく作業効率もアップするでしょう。
ただし、単品で購入する場合、必要な工具を一通り揃えるとなると、費用は工具セットよりも高くなってしまいます。
初心者なら最低限の工具が揃えられるセットがおすすめ
バイク用工具は種類が多いため、バイクに乗り始めたばかりの初心者であれば、どの工具を選べば良いか判断が難しいかと思います。
その場合、メンテナンスに必要な工具が最低限揃っている工具セットを選ぶのがおすすめです。
バイク用工具セットには、ドライバーやコンビネーションレンチなど、バイク整備で使用頻度が高い工具が入っているため、基本的なメンテナンスには困りません。
後に作業に応じて買い足すと良いでしょう。
バイクの整備に最低限必要な工具

初心者の方がバイク用工具セットを購入する場合、セットの中に必要なものがきちんと備わっているかが重要です。
また、ツーリング中にバイク整備をするとなると、全てを車載するのは難しいため、工具を厳選しなくてはなりません。
ここでは、バイクの整備に最低限必要な工具をご紹介します。
ドライバー
ドライバーはネジを締めるために必要な工具で、最も使用頻度の高いものです。
先端の形状がマイナスのものをマイナスドライバー、プラスのものをプラスドライバーと呼びますが、先端のサイズによって番手が違い、バイクの整備ではクランクカバーの取り外しなど様々な場面で使用する2番(PH2)ドライバーが必須となります。
ドライバーといっても様々なサイズがあり、ネジのサイズに合ったものを選ばなければ、ネジ頭を潰してしまう恐れがあるため注意が必要です。
コンビネーションレンチ
コンビネーションレンチは、ボルト・ナットをすばやく回せるスパナと、力を込めやすいメガネレンチが一体化したもので、幅広い用途に使用できるため、あると便利な工具です。
バイクに多数採用されている六角ボルトの締め付け、取り外しにはメガネランチを使うのが一般的で、コンビネーションレンチがあれば、工具を持ち替えずに効率的に作業できます。
また、コンビネーションレンチであれば、レンチの本数が少なく済むので収納スペースをとらず、金銭的負担も少なく済むでしょう。
コンビネーションレンチのよく使うサイズは
- 8mm
- 10mm
- 12mm
上記3つで、その他は必要に応じて揃えるのがベストです。
六角レンチ
六角穴付きのボルトやネジを固定・緩めるために使うのが六角レンチで、バイクチェーンの調整などにも使われます。
差し込んだ際にレンチとボルトの接触面性が大きく、ボルトと同サイズのレンチを使用するため、ボルトが壊れにくい点がメリットです。
ラジオペンチ

先が細くなったペンチをラジオペンチと言い、細かいパーツを掴む際に役立ちます。
バイクの整備は、奥まった場所や狭い場所が多いため、届きやすいラジオペンチが重宝するでしょう。
先端の細さは商品によって差があり、細かい作業を行いたい場合は先端が細いものを、力を入れたい場合は太めのものを選ぶのがおすすめです。
トルクレンチ
トルクレンチは、ボルトやネジを適正な力で締めつけるための工具で、エンジンの整備やタイヤの取り付け、補機類の点検など様々な用途で使用します。
バイク整備ではネジ締めは最も繊細な部分で、強く締めすぎるとネジが割れる・潰れるなどのトラブルが、緩すぎても部品が外れて危険が伴うため、注意しなければなりません。
そのため、メーカーや車種ごとで定められた、規定のトルクで締めつける必要があります。
モンキーレンチ
モンキーレンチはボルトやナット挟む部分が可変するレンチで、手持ちのレンチではサイズが合わないときに活躍し、シンプルながら様々なサイズに対応できるのが強みです。
主にボルトやナットの開け閉めに使われ、ボルトなどにしっかりと固定して回すと、素手よりも効率的に力を加えられます。
バイク整備では使用機会も多いため、ほとんどの工具セットに備えられています。
モンキーレンチはショートタイプのものとロングタイプのものがあり、大きくて硬いボルトをしっかりと締めたい場合は力を入れやすいロングタイプを、狭い場所締める際はショートタイプのモンキーレンチを選ぶのがおすすめです。
プラグレンチ
スパークプラグ(エンジン内でガソリンと空気の混合気に点火するための点火装置)を脱着するときに使う工具をプラグレンチと言います。
キャブ車の場合、よくあるトラブルの1つとしてプラグかぶり(プラグがガソリンやオイルをかぶる症状)がありますが、その場合、プラグを外して清掃したり交換したりしなければいけないため、プラグレンチが必要になります。
また、エンジンの不調を防ぐためには定期的なプラグ交換が求められるため、自身で行う場合は持っておいた方が良いでしょう。
バイクの工具セットを選ぶ際のポイントや注意点

バイクの工具セットを購入しても、使い物にならなければ意味がありません。
ここでは、バイク整備で失敗しないための工具セットの選び方のポイントや注意点をご説明します。
バイク初心者の方は特にこれから紹介するポイントをしっかり押さえておきましょう。
サイズの規格が自分のバイクに合ったものを選ぶ
工具を選ぶ際は、自分のバイクに使える工具の種類や規格であるかの確認が必須です。
ボルトやナットの規格には、ミリ(mm)やインチ(in)などがあり、それぞれの互換性はありません。
国内メーカーはミリを採用していますが、ハーレーなどの海外メーカーではインチや特殊なものが採用されている場合が多いため、工具を購入する際は事前にチェックしてください。
使用場所や使い方に合わせて選ぶ
バイク用工具セットをどこで使用するかによっても選び方が変わってきます。
あらかじめ工具の使用・収納場所を確認したうえで工具セットを選びましょう。
持ち運びするならコンパクトタイプ
バイクのシート下やサイドカバー内などの収納スペースに入る軽量でコンパクトなタイプの工具セットであれば、ツーリング中にトラブルが発生した場合にも役立つでしょう。
逆に、大きくて重い工具では、携帯できなかったり、使用時の上げ下ろしに不便だったりするので注意が必要です。
一般的には、バイクを購入した際に簡易的な工具セットである「車載工具」が標準で備え付けられています。
ただし、必要最低限のものしか揃えられていなかったり扱いづらかったりするケースが多いため、質を重視する場合は市販の車載工具と入れ替えるのが望ましいです。
自宅でのメンテナンス用なら収納量が多い工具箱
自宅で常備し、本格的にメンテナンスしたい場合、多くの工具が収納されている工具セットを選びましょう。
工具箱には様々なタイプがあるため、必要な工具が揃えられているかはもちろん、使い方に合わせて工具箱のタイプで選ぶと便利です。
【工具箱のタイプ】
- チェスト
- 両開きケース
- 片開きケース
- ローラーキャビネット
- ツールバッグ
- ワゴン
- 壁面収納
チェストか両開きケースで悩まれる方が多いですが、チェストは基本的に据え置きタイプで、移動させるのが困難です。
工具を持ち運びたい場合は片手で持てる両開きケースが向いています。
使用頻度の高い工具が揃っているものを選ぶ

バイクのメンテナンス初心者の方は、できる作業が限られてきます。
初めから良い工具を揃えたとしても技術が追いつかず、自分でメンテナンスするのをやめてしまった場合に工具代が無駄になってしまいます。
そのため、はじめは使用頻度の高い工具が備えられている工具セットを選びましょう。
メーカーで選ぶ
あまり知られてないメーカーの工具を使用すると、不良品が多かったり、消耗しやすかったりといった問題が起こりやすくなります。
そのため、信頼性の高いメーカーのバイク用工具を選ぶのもおすすめです。
バイク用工具メーカーとしては、以下のものがあります。
- KTC(品質や使用感に優れている)
- アストロプロダクツ(比較的安価で手に入れやすい)
- TONE(赤や黒を基調としたスタイリッシュな商品が多い)
- デイトナ(コンパクトなツールセットが人気)
それぞれに特徴が異なるため、自身に合ったメーカーを選ぶと良いでしょう。
収納スペースがあるものを選ぶ
バイク用の工具はセットで揃えたとしても、作業によっては追加で購入しなければならない場合もあります。
その際、使いたい工具がどこにあるか分からない、同じアイテムを購入してしまうなどのリスクを防ぐために、工具をひとまとめに収納するのが望ましいです。
そのためにも、工具セットを選ぶ際は、工具を追加するのを想定して収納スペースに余裕のあるものを選ぶと良いでしょう。
安物には注意する
工具はホームセンターで数千円から売られているものや100円ショップで売られているものなど、価格が様々です。
高い工具の方が精度や耐久性に優れ、アフターフォローがしっかりしているものも多いですが、初心者の方は使用頻度が低いのであれば無理して高価なものを用意する必要はありません。
ですが、ドライバーなどは消耗品であり、先端が減ってきたら作業に支障が出るため交換しなければなりません。
安い工具は手に入れやすいものの、消耗しやすく、ネジ山を潰してしまうリスクも高いため、注意して選ぶ必要があります。
自分に合った工具セットを選んでバイクをメンテナンスしよう

幅広い工具を用意しておいていた方が、いざというときに安心ですが、バイク用工具といっても工具の種類やサイズによって様々なものがあるため、初心者の方は特に工具セットを用意するのがおすすめです。
予算や保管スペースも限られてくるため、自身の使い方に合った工具セットを選びましょう。
使いやすい工具を選び、自分でカスタムや整備ができるようになると、愛車に長く乗れますし、長期的にみて節約にもなるため、これから自身でバイクをメンテナンスしていこうと考えている方は参考にしてみてください。