バイクのハンドル交換では車検に注意!保安基準や車検に通らない場合の対処法を解説

バイクのハンドルを交換すると、ビジュアルが大きく変わります。

ですが、ハンドルを交換して車検に通らなくなるケースがあることをご存知でしょうか。

本記事では、バイクのハンドルに関する保安基準について解説します。

基準に適合しない場合の対処法についても詳しく説明しますので、バイクの安全性を確保するためにも、ぜひこの記事を参考にしっかりと準備をしてバイクのカスタムを楽しみましょう。

バイクのハンドルを交換するメリット

バイクのハンドルを交換するメリット

バイクのハンドルは、乗りやすさはもちろん、安全性や外見の美しさにも大きく影響します。

まずは、バイクのハンドルを交換するメリットを見ていきましょう。

乗り心地が良くなる

購入時に取り付けられている純正のハンドルは多くの人が乗りやすい寸法を考慮して取り付けられていますが、体型や乗り方は人によって違うため、誰にでもフィットするとは限りません。

ですが、純正ハンドルが遠いと感じた時にハンドル交換をして自分のベストポジションを作り出すことが可能になります。

自分のライディングポジションに合ったハンドルを選べば乗り心地が良くなりますし、長距離走行しても疲れにくくなるでしょう。

そのため、ライダーにとっては真っ先に取り掛かりたいカスタムパーツであると言えます。

見た目が良くなる

車体の美しさも、バイクをカスタムするうえで重要なポイントです。

自分好みのハンドルを選ぶことで、見た目の満足度が上がり、愛車への愛着もさらに高まるでしょう。

特に後述するセパレートハンドルの場合、外観を大きく変えられるため、見た目を変化させるためにカスタムするライダーも多いです。

車体全体が引き締まってより美しく見えたり、格好良く見えたりするのも、ハンドル交換の醍醐味といえます。

重さや強度が変わる

純正のハンドルの多くはスチール性ですが、これを社外ハンドルのアルミ製に変えるだけで、100〜200g程度の軽量化になるのです。

また、スチール製のハンドルでは転倒した際に曲がりやすいですが、アルミ製のハンドルなどレース向けに作られたハンドルにすると、強度も高くなり曲がりにくくなります。

そのため、ハードなコースを走行するライダーの場合はハンドル交換も転倒時の対策としては有効です。

バイクのハンドルの種類

バイクのハンドルの種類

バイクのハンドルは様々なタイプがあり、大きく分けると以下の2つです。

  • バーハンドル
  • セパレートハンドル

それぞれ、「バーハン」「セパハン」の相性で親しまれていますが、それぞれ以下のメリット・デメリットがあります。

メリットデメリット
バーハンドル・ライディングポジションが楽
・長時間運転しても疲れにくい
・取り付けが比較的簡単
・カーブが曲がりづらい
・ポジションを低くするには限度がある
セパレートハンドル・カーブが曲がりやすい
・ハンドルの角度を調整できる
・トップスピードが上がりやすい
・長時間の運転は疲れやすい
・転倒時に車体へのダメージが大きい
・取り回しが大変

バーハンドルとセパレートハンドルの特徴について詳しく説明していきます。

バーハンドル

バーハンドルは、その名の通り左右のハンドルが1本の棒として繋がっているものを指します。

ネイキッドやオフロード、スクーターなどの純正ハンドルとして採用されることが多いです。

バーハンドルは多くの種類があるため一概にはいえませんが、基本的にセパレートハンドルに比べてハンドル位置が高くいため、ゆったりとした姿勢で楽に走行できるメリットがあります。

ただし、前傾姿勢を取らないため、カーブを攻めるような走りには向いていないため、スポーティーな走りを求めるライダーにとってはデメリットとなるでしょう。

バーハンドルにも多くの種類がありますが、中でもメジャーなハンドルをご紹介します。

コンチネンタルハンドル

コンチネンタルハンドルは、最もオーソドックスなバイクのハンドルで、ネイキッドバイクなど、多くのバイクの純正ハンドルとして採用されています。

ハンドルの形状をあまり変えたくない人はコンチネンタルハンドルの中から選ぶと良いでしょう。

コンドルハンドル

セパレートハンドルを模した形状のバーハンドルをコンドルハンドルといいます。

持ち手部分が出っ張っているのが特徴です。

ライディングポジションはやや前傾姿勢となりますが、セパレートハンドルほどハンドルの位置は低くなりません。

スワローハンドル

スワローハンドルはコンドルハンドルに形状が似ていますが、持ち手の突出部分がありません。

その名の通り、鳥が羽ばたく姿のような形をしており、カフェレーサーなどによく使われます。

セパレートハンドルほどではありませんが、バーハンドルの中でも低いポジションとなるハンドルです。

アップハンドル

アップハンドルは、アメリカンなどでよく使用されるハンドル形状の、持ち手の位置が高いハンドルを指します。

楽なポジションをとれるため、長距離走行でも疲れにくいです。

主に、アメリカンタイプのバイクに採用されています。

セパレートハンドル

セパレートハンドル

左右が独立して分かれているハンドルをセパレートハンドルといいます。

レーサー、スポーツバイク、ツアラーなど、スポーツ走行を目的として設計されたバイクに採用されるケースが多いです。

ハンドルの位置が低く、前傾姿勢となるため、空気抵抗を減らして風による疲れを軽減できるほか、スピード力も向上します。

ただし、前傾姿勢のライディングポジションは、長距離走行では疲労の原因にもなります。

バイクのハンドル交換時は車検に注意!

バイクのハンドル交換時は車検に注意!

ご紹介した通り、バイクのハンドルには様々な種類があるため、愛車を自分好みにカスタムできます。

しかし、ハンドルの種類によっては、交換後に車検に通らなくなる恐れがあるのです。

詳しく説明していきます。

バイクの保安基準

バイクを車検に登録する際、バイクの寸法である「全長・全高・全幅」を含む車体の情報を申告します。

ですが、ハンドル交換の結果、車検登録時の寸法から大きく外れるものは保安基準不適合となり、車検に通らなくなってしまいます。

車検に通るハンドルの基準は以下の通りです。

  • 車高・・・プラスマイナス4cm
  • 車幅・・・プラスマイナス2cm

ハンドルのカスタムで上記以上に変更になった場合、車検には通りません。

バイクの寸法の計測方法

バイクの車高や車幅や高さは、「バイクの前後左右で最も出ている位置で測る」ものとされており、一般的に車高は地面からメーターの上部までの長さ、車幅はクラッチレバーの先端からブレーキレバーの先端までの長さを計測し、車検に登録します。

ミラーやウインドシールドの方が高さがあるように思いますが、これらは「指定部品」と呼ばれるパーツで、取付方法によっては構造変更検査の除外対象になっているのです。

そのため、ハンドルを変更するとバイクの寸法が大きく左右されてしまいます。

保安基準を超えた場合の対処法

保安基準を超えた場合の対処法

万が一、交換したバイクのハンドルが保安基準を上回ったり下回ったりした場合、どうすれば良いのでしょうか。

この場合、「構造変更申請」を行い、車検証に記載されている寸法自体を変更する必要があります。

この構造変更申請を行うためには、新たに車検を通さなければなりません。

構造変更申請とは

構造変更申請は、車検証に登録されている情報に変更があったのを知らせるための申請です。

多少の変更であれば申請は不要ですが、以下の条件に当てはまる場合、申請しなければならなくなります。

車体の幅プラスマイナス2cm以上の変更がある場合
車体の高さプラスマイナス4cm以上の変更がある場合
車体の長さプラスマイナス3cm以上の変更がある場合
車体の重量プラスマイナス50kg以上の変更がある場合
車体の強度フレームカットなどにより強度に変更があった場

構造変更の申請方法

構造変更申請は、管轄となる運輸支局もしくは自動車検査登録事務所へ必要書類とバイクを持ち込み、検査を受けて手続きをします。

構造変更申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 申請書(2号様式)
  • 構造変更申請書
  • 自動車検査証
  • 自動車検査票
  • 定期点検整備記録簿
  • 自賠責保険証明書
  • 自動車重量納付書
  • 納税証明書
  • 手数料納付書

必要書類が多くなるため、不安な方はバイクショップや代行業者への依頼を検討してみても良いでしょう。

構造変更申請後は、1週間~10日程度の日数をかけて審査が行われ、審査が終わると「改造自動車等審査結果通知書」が届きます。

構造変更申請の期限

申請が必要な構造変更を行った場合、15日以内に届出が必要となります。

構造変更した後に、手続きを行わずにバイクを運転すると違法になるため、必ず15日以内に申請を行うようにしましょう。

また、構造変更を行った時点で現在の車検の残期間が無効になるため、車検費用を無駄にしないためにも、現在の車検有効期限となる少し前にカスタムするのがおすすめです。

バイクのハンドル交換時の注意点

バイクのハンドル交換時の注意点

バイクのハンドルを交換する際、車検以外にも注意しなければならない点があります。

交換後に後悔しないためにも、ハンドルを変更しようと考えている方は、ぜひチェックしてみてください。

商品の適合車種をチェックする

好みのハンドルが見つかったら、まずはバイクとそのハンドルが適合するかチェックしましょう。

適合車種かどうかは、ハンドルメーカーの「適合車種表」を見ると分かります。

店頭もしくはメーカーの公式サイトなどで適合車種表を探し、自分のバイクと同じ車種・同じ年式の記載があるか確かめましょう。

適合の記載があれば、そのハンドルを自分のバイクに装着できます。

車体とのバランスを考慮する

ハンドルは車体の高い位置にあるパーツであるため、ハンドルを交換することでバイク全体のイメージが大きく変わります。

たとえば、車体が低めであるにも関わらず、ハンドルだけ高くなってしまうと、アンバランスな見た目になってしまいます。

そのため、ハンドルだけを見て選ばず、交換後の全体像を意識して選ぶのがおすすめです。

自分では合っているかがわからず不安な場合は、バイクショップに相談してみるのも良いでしょう。

ワイヤー類の長さを確認する

バイクのハンドルを交換することで、ワイヤー類の長さが合わなくなる場合があり、ハンドルに合わせてワイヤー類の交換も必要になるケースが多いです。

このワイヤー類は、長すぎても短すぎても故障の原因となるため、注意しなければなりません。

そのままで問題ないケースもありますが、特に、長さが不足する場合は装着できなくなるため、交換前にワイヤーが届くか確認して準備しておきましょう。

ハンドル交換で注意する必要があるワイヤー類は以下の通りです。

  • ブレーキワイヤー
  • クラッチワイヤー
  • ブレーキホース
  • チョークワイヤー
  • アクセルワイヤー
  • スイッチハーネス、電飾系ハーネス

ハンドル交換に自信がなければプロに依頼する

バイクのハンドル交換を自分で行う場合、主に以下の手順で進めていきます。

  • 純正ハンドル周辺のパーツを取り外す
  • 純正ハンドルを取り外す
  • 新しいハンドルに穴を開ける
  • 新しいハンドルを仮締めする
  • 取り外した周辺パーツを元に戻す
  • ハンドルにグリップを装着する
  • 仮締めしたハンドルを本締めする

手順を覚えるとそれほど難しい作業ではありませんが、レンチや社外ハンドルの穴あけに必要な電動ドリルなどの工具が必要です。

そのため、難易度が高いと思う方は無理をせず、ショップに依頼すると良いでしょう。

バイクのハンドル交換にかかる工賃は一般的に5,000~20,000円程度で、それに加えてパーツ代がかります。

バイクの車検に注意してハンドルを選ぼう

バイクの車検に注意してハンドルを選ぼう

バイクのハンドルを交換すると、自分好みの見た目に変えられるほか、ライディングポジションを自分に合わせて調整することも可能です。

ですが、ハンドルを交換すると、車高と車幅が変わる可能性があるため、交換時は車検証に記載されている寸法をチェックして以下の保安基準に適合するか確認しましょう。

  • 車高・・・プラスマイナス4cm
  • 車幅・・・プラスマイナス2cm

保安基準を超えた場合は構造変更申請を行う必要があるため、必ず期間内に申請するようにしてください。

しっかり準備・対策をとっていればハンドルを交換すること自体は問題ないため、自分好みのハンドルを選んでカスタムを楽しんでいただけたら幸いです。