医師の転職で内定を辞退する際のマナーと連絡方法を解説

医師が転職活動で内定を得ても、様々な事情で内定を辞退しようと考えている方もいると思います。

では、どのように内定辞退の連絡をしたら良いのでしょうか。

本記事では、医師の転職活動における内定辞退のマナーについて解説します。

せっかく内定をもらった医療機関へ辞退を申し出るのは気まずいかもしれませんが、社会人として誠意を持って連絡をしなければなりません。

辞退の連絡方法も様々ありますので、この記事を読んで適切に対応していただけたらと思います。

医師は転職回数が多い

医師は転職回数が多い

医師という職業は、他の職種と比較して、転職回数が多い傾向にあります。

医師の転職回数の目安は、平均4~5回程度と言われており、超高齢社会で医師不足が懸念される中、一定のスキルや経験を持つ医師であれば、転職回数が多くても就職には不利となりにくく、転職先にほとんど困らないことが理由に挙げられます。

そのため、給料面を改善したいと思っていたり、キャリアアップを考えていたりする場合は転職を考える良い機会です。

ただし、転職回数が多いと退職金に影響が出る恐れがあり、短期間で転職を繰り返すと退職金が減ってしまう可能性があるので、慎重に考えましょう。

医師の内定をもらった後に辞退はできる?

医師の内定をもらった後に辞退はできる?

自分が求めている条件に合わなかった、面接時に懸念を感じた、医療機関に並行して応募しており、二つ以上の医療機関から内定をもらった、など、様々な事情で内定を取り消してもらいたいと考えるケースもあるかと思います。

ですが、そもそも医師が転職先面接後にもらった内定を辞退することは可能なのでしょうか。

医師が転職先の内定を辞退する理由

まず、医師が転職先の内定通知がきた後に辞退する主な理由を見ていきましょう。

  • 内定がなかなか出ずモチベーションが下がった
  • 併願先でも内定を受け、そちらを受託する
  • 面接での面接官の対応に不信感を抱いた
  • 面接で話していた内容と採用条件が異なっている
  • 採用条件が希望と離れていた
  • 条件面の説明が不明確だった
  • 人事と現場の情報に相違があった
  • 家庭の事情で就職できなくなった

医師の転職は診療科目にもよりますが、基本的に買い手市場と言われており、転職先が見つかりやすいとされています。

転職希望者にとっては有利となるため、上記のような理由で、内定をもらった後にキャンセルする人は決して少なくありません。

内定の辞退は違法ではない

医師が転職面接に合格し、内定をもらった後の辞退について、法律的に考えると医療機関側には何の拘束力もありません。

採用者から内定通知が出され、求職希望者が承諾すれば労働契約が成立しますが、内定を受ける前であれば雇用契約に同意したことにならず、辞退しても違法ではありません。

また、民法第627条に「 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる」という規定もあり、内定承諾後の辞退も違法にはならないのです。

(引用:厚生労働省/労働政策審議会労働条件分科会 第49回資料

内定辞退の連絡はなるべく早めに行う

内定辞退の連絡はなるべく早めに行う

先述しましたように、医師が医療機関の内定を断るのは法律上何の問題もありません。

ですが、自身の採用に時間をかけてくれた医療機関に対して、謝意を伝えるのは社会人として当然のことです。

医療機関側にとっては書類選考や面接、院内見学など時間や労力をかけて採用を決めており、内定者が減ると再び人員を採用しなければならないケースもあります。

そのため、内定の辞退を決めたのなら、先方の採用スケジュールを考慮して、なるべく早めに連絡しましょう。

転職活動も同時に進める

医師の転職活動は2~3件に応募し、比較検討して入職先を決めるのが一般的ですが、1ヶ所のみ申し込んで内定をもらっていた場合、次の転職先を探さなければなりません。

転職をスムーズに進めるためにも、内定辞退の連絡を行うと同時に転職活動も進めていきましょう。

その際、勤務条件など譲れないポイントや妥協するポイントなどを確認しておくのがおすすめです。

医療機関への内定辞退のマナー

医療機関への内定辞退のマナー

医師が医療機関での内定を辞退する場合、社会人としての礼儀やマナーを忘れずに、適切に対応する必要があります。

採用者は「この人なら自社で活躍してくれる」と期待を込めて内定を決めており、その期待を結果的に裏切ってしまう形になるため、そのことを忘れず誠意を持って伝えましょう。

ここでは、内定を辞退する際のマナーについて解説します。

連絡なしに辞退するのは避ける

「辞退の理由が言いにくい」「悪い印象を持たれないか心配」などの理由から、辞退の連絡を放置する方もいますが、連絡なしで内定を断るのは絶対にやってはいけません。

先方は本来の業務で忙しい中、時間やコストをかけて面接の場を設けてくれるため、そのような行為は相手の気持ちを踏みにじるものです。

また、医療業界の場合、他社で働くことになった際に内定を断った先と業務上の繋がりを持つ可能性も大いにあります。

このとき、相手に「内定を無断キャンセルされた」と悪い印象を持たれると社会的信用を失ってしまう恐れがあるため、内定を辞退する場合は、どんな理由があろうと担当者に連絡するのを忘れないようにしましょう。

辞退の連絡は指定された期間内に行う

内定辞退の連絡は指定された期間内に行う必要があります。

一般的には内定通知から1週間程度ですが、辞退の意向が固まったら、できるだけ早く伝えましょう。

医療機関は慢性的な人手不足に悩んでいるケースが多いため、転職先へ内定の辞退を申し出るのは心苦しいかと思いますが、採用に関する連絡は先方にとっても早い方が助かります。

連絡する時間帯に配慮する

電話で辞退の連絡をする場合、連絡する時間帯に気を配りましょう。

先方の就業時間帯に連絡を入れるのはもちろんですが、忙しいのが分かる時間を避けるのが社会人としてのマナーです。

とくに、以下の時間帯は避けた方が望ましいです。

  • 始業時間の直後
  • 終業時間の直前
  • 昼食の時間帯

また、メールで連絡する際も深夜や早朝など非常識な時間帯は避けましょう。

転職先へ内定辞退を伝える方法

転職先へ内定辞退を伝える方法

内定辞退をする場合、先方の都合も考慮してできる限り早く、お詫びの言葉とともに連絡を入れましょう。

内定辞退を先方に伝える手段として、以下の方法があります。

  • 電話で連絡する
  • メールで連絡する
  • 転職サイトのコンサルタントから連絡する

それぞれ詳しくご説明します。

①電話で内定辞退の連絡をする

内定辞退の連絡は、電話で行うのが一般的です。

メールの場合、相手が読んだのか分からなかったり、誠意をしっかり伝えられなかったりと、一方的な伝え方になってしまいます。

しかし、電話であれば自分の声で先方に直接内定のお礼と辞退のお詫びを伝えられますし、誠意も伝わりやすくなるでしょう。

採用担当者が不在の場合、伝言せずに時間をおいて掛け直し、採用担当者に直接辞退の意向を伝えるようにしてください。

電話で内定辞退する際のポイント

電話で内定辞退の連絡を入れる際は、あらかじめ伝える内容をまとめておくのがおすすめです。

採用担当者に対して以下を伝えましょう。

  • 内定をいただいたことへの感謝
  • 内定辞退の申し入れと辞退の理由
  • 面接日程の調整などに対する感謝

先方が忙しい場合もあるため、本題に入る前に相手の都合を確認してください。

②メールで内定辞退の連絡をする

メールで連絡する

内定辞退の連絡手段は電話が基本です。

しかし、面接の日程など先方とメールでのやり取りがメインだった場合や、内定の連絡がメールで来た場合、内定承諾について後日メール連絡することになっていた場合などは、メールで済ませられることもあります。

文面では直接言葉で伝えるよりも冷たい印象を与えてしまいがちなので、誠実さを意識した丁寧な文章を心がけましょう。

メールで内定辞退する際のポイント

メールで内定辞退の連絡をする際は、件名に「内定辞退のご連絡」などの文言を入れ、本文には、おもに以下の内容を記載します。

  • (文頭に)相手先の病院名や法人名、部署、担当者名
  • 内定をいただいたことへの感謝
  • 内定辞退の申し入れと辞退の理由
  • メールでの連絡を詫びる言葉
  • 先方の発展を祈る言葉

内定辞退の理由は詳しく記載する必要はありませんが、「辞退理由を今後の採用活動に活かしたい」と考えている事業者も多いため、先方を傷付けないよう配慮しながら、簡潔に伝えるのが望ましいです。

③転職支援サービスのコンサルタントを利用して内定辞退を伝える

せっかく内定をもらった医療機関に断りを入れるのは気まずいものですが、転職支援サービスのコンサルタントに断ってもらう方法もあります。

転職支援サービスは、「転職したい人」と「人材を探している企業」の間に立ち、マッチングさせるサービスです。

転職支援サービスのコンサルタントに依頼すると、応募書類の作成から面接日程の調整、そして条件交渉までをサポートしてもらえるほか、内定辞退時の連絡も代行してくれる場合もあります。

内定辞退の連絡はなるべく自分で伝えた方が印象が良いでしょうが、強引に条件交渉を持ちかけられるケースもあるので、スムーズに転職活動を進めていきたいのであれば、コンサルタントの利用も検討してみましょう。

医師が内定を辞退する際の注意点

医師が内定を辞退する際の注意点

医師が転職先で内定の辞退を検討している場合、様々な悩みに直面するでしょう。

ここでは、内定を辞退する際に注意するポイントをご紹介します。

内定を辞退するか悩んでいる場合

転職先の内定を辞退してよいか悩む方も多いです。

他に内定をもらっている医療機関があれば、それぞれを比較・検討し、まだ他の機関からの内定をもらっていない場合は、一度冷静になって本当に就職すべきか考えてみましょう。

事業者によっては内定の承諾を保留できる場合もあるため、じっくり考えて結論を出したいのであれば、内定承諾の保留を交渉してみるのも有効です。

一時的な感情で内定の辞退を決めてしまうと後悔することになりかねませんので、理由を辞退するを明確にして納得のいく結論を出してください。

内定保留とは

内定保留とは、内定承諾を決定する期間を延ばしてもらうことで、現在働いている医療機関の退職が確定していない場合や、他の医療機関と併願しており、まだ結果が出ていないときの選択肢です。

内定保留を希望しても認められるとは限らず、内定を取り消される可能性もあるので慎重に検討し、本当に必要であれば採用担当者に相談しましょう。

また、内定承諾後に辞退すると医療機関へ多大な迷惑をかけてしまうので、保留期間中に他と比較しながらよく考えなければなりません。

企業から引き止められた場合

企業から引き止められた場合

内定辞退の連絡をした際に、医療機関から引き止められるケースはよくあります。

勤務条件の向上が提示されると、気持ちに迷いが生じるかもしれません。

ですが、内定を断るのを一度決断したということは、それなりの理由があるはずなので、引き止められたからといってすぐ内定を受けると、この先後悔する可能性が高いです。

この場合、「なぜ転職をしようと思ったのか」「転職先の医療機関が自身の今後のキャリアにとって魅力であるか」を整理して考え、内定を承諾する意思がない場合は、はっきりと断りましょう。

手紙だけでの内定辞退の連絡は避ける

採用する側は辞退者が出た場合、新たに採用者を決める必要があるため、内定辞退の連絡は「できるだけ早く」行うことが求められます。

そのため、到着までに時間を要する手紙よりも、電話で迅速に内定辞退の意思を相手に伝える方が良いでしょう。

ですが、内定辞退を電話で伝えたあとで、詫び状を送るとより丁寧な印象を与えられます。

電話で連絡したら、基本的には手紙を送る必要はありませんが、知人や親族に紹介してもらった医療機関の内定を断る際など、手紙で感謝とお詫びの気持ちを改めて伝えたい場合は、なるべく早く郵送するのを心がけましょう。

誠意を持って辞退の意向を伝えよう

誠意を持って辞退の意向を伝えよう

医師の転職は、今後の人生設計やキャリアアップにおいて重要な要素です。

そのため、転職活動の際には同時期に複数の医療機関の採用試験を受ける場合もあり、内定をもらった医療機関に内定辞退を申し出るのは珍しくありません。

ですが、今後トラブルを起こさないためにも、社会人としてのマナーを守った対応が必要不可欠です。

内定辞退の連絡方法として電話やメールなどがありますが、どちらの場合でも、内定をもらえたことへの感謝の気持ちや、辞退することへのお詫びの気持ちを丁寧に伝えましょう。

そして、自身が納得のいく現場で働けるようベストを尽くしていただけたら幸いです。