バイクのマフラーを内部洗浄する方法とは? | 洗浄の方法と手順、ポイントも解説

バイクのマフラーは、燃焼後のガスを排出し、エンジン音を消音するために不可欠な部品です。
しかし、ガスを排出しているため汚れが溜まりやすく、放置するとバイクが不調を来す可能性があります。そのため、定期的に内部を洗浄しなければいけません。
バイクのマフラーは、個人でも簡単に内部洗浄が可能です。この記事では、バイク乗りの方に向けて、「マフラーの内部洗浄方法」を紹介します。洗浄の手順はもちろん、洗浄する際に意識したいポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
バイクのマフラーは内部洗浄が必要

バイクを長持ちさせるためにやっておきたいのが、マフラーの内部洗浄です。マフラーに汚れが溜まることで排気効率が落ち、性能低下や異音の原因になります。
できるなら、愛車には長く乗っていたいもの。掃除をしないと、以下のような症状が現れる可能性があります。
- エンジンの不調
- エンストしやすくなる
- 加速が悪くなる
どれも排気が上手くできないため、起こる症状です。原因がマフラーにあると、いくらエンジンやキャブレターなどをメンテナンスしても、調子は良くなりません。
マフラーの内部を洗浄すると、排気ガスの流れがスムーズになり、エンジンの負担が減ります。結果、加速がスムーズになったり、燃費が改善したりする可能性があります。
マフラーの内部洗浄はバイクのパフォーマンスを維持するために、非常に重要なメンテナンス作業の1つなのです。
バイクのマフラーを内部洗浄するタイミング

バイクのマフラーは、定期的に内部洗浄するのが基本ですが、以下のようなタイミングでも洗浄を考えてみてください。
- 加速のレスポンスが悪い
- エンストしやすくなった
- マフラーから爆音がし始めた
- スピードが落ちたように感じた
加速のレスポンスが悪い
加速のレスポンスが悪い場合、マフラー内部が汚れている可能性があります。汚れにより排気ガスの流れが悪くなり、エンジンのレスポンスが鈍るためです。
実際に内部洗浄をすると、加速時のレスポンスが明らかに改善されるケースが多々あります。マフラーの内部を綺麗にして、エンジンが本来のパフォーマンスを発揮できるようにしましょう。
エンストしやすくなった
マフラーの内部汚れが原因で、エンジンが止まりやすくなるケースもあります。汚れが排気を妨げ、エンジンに負担がかかるためです。
この場合も、内部洗浄をすると改善できる可能性があります。マフラーの中が綺麗になることでエンジンの停止が減少し、スムーズに走行できるようになるでしょう。
排気システムの流れを良くする意味でも、マフラーの内部洗浄は大切です。
マフラーから爆音がし始めた
マフラーから異音が聞こえると、内部の汚れや損傷が原因の可能性があります。特に、爆音がする場合、排気システムの汚れが深刻なサインと認識しておきましょう。
いつもと音が違うなと感じたら、マフラーの内部洗浄をすると静かな走行音に戻る可能性があります。異音の原因となる障害物が取り除かれるためです。
音の原因がマフラーにあると感じたら、まずは中身を洗浄してみてください。
スピードが落ちたように感じた
マフラーの内部汚れは、バイクのスピードにも影響を与えます。汚れにより排気効率が下がるとエンジンパワーが十分に発揮されず、スピードが落ちていると感じるためです。
ですが内部洗浄をすると、排気ガスの流れがスムーズになり、エンジンが軽快に動くようになります。排気効率の改善によって、バイクの走行性能が向上するのですね。
普段のスピードより遅く感じたら、マフラーの内部を洗浄して様子を見てみましょう。
バイクのマフラーを内部洗浄する方法

バイクのマフラーを内部洗浄する際、以下の2つの方法があります。
- 溶剤を使ったカーボンを溶かす
- ワイヤーブラシを使ってカーボンを削り落とす
- 基本的には溶剤が1番楽ちん
溶剤を使ってカーボンを溶かす
内部洗浄で最も効果的な方法は、溶剤を使ってカーボン汚れを溶かす方法です。マフラーに水で溶かした溶剤を流し込んでつけ置きするだけなので、力作業も必要なく、形状も問いません。
扱える溶剤も、以下のようなドラッグストアで購入できるものでOKです。
- パイプユニッシュ
- マジックリンスプレー
排水口の掃除にも使われるアルカリ性のパイプ洗浄剤を活用できます。溶剤の指示通りに薄めてマフラー内に注入し、しばらく放置するだけで、固着したカーボン汚れが溶け出すため、手間もほとんどかかりません。
費用的にも優しい洗浄方法です。
ワイヤーブラシを使ってカーボンを削り落とす
ワイヤーブラシを使って、手作業でマフラー内部のカーボンを除去する方法もあります。特に固着したカーボンに効果的です。溶剤では落とせない頑固な汚れを、物理的に削り取れます。
マフラーを傷つけないよう注意が必要ですが、隅々まで綺麗にできる方法です。
基本的には溶剤が1番楽ちん
マフラー内部の洗浄方法としては、溶剤の使用が最も簡単かつ効果的な方法です。ワイヤーブラシでは届かない場所の汚れも落とせるため、全体を綺麗に洗浄できます。
溶剤をマフラー内に流し込んで、一定時間放置した後に排出するだけで、多くの汚れを除去できます。マフラーへのダメージも最小限に抑えられるため、初心者でも安心して取り組めます。
バイクのメンテナンスを自分でするのなら、溶剤を使ったマフラーの内部洗浄は、ぜひとも覚えておきたい方法です。
バイクのマフラーを内部洗浄する手順

ここからは、バイクのマフラーを内部洗浄する手順を紹介します。以下の流れで進めてください。
- 溶剤をお湯で薄める
- マフラーに薄めた溶剤を入れる
- 数時間放置する
- マフラー内の溶剤を排出する
- 水でマフラー内をすすぐ
- 乾燥させる
Step1.溶剤をお湯で薄める
まず、アルカリ性の溶剤をお湯で薄めてください。原液を直接でも大丈夫ですが、痛まないか不安な方は薄めてください。この際、お湯にすると汚れを落としやすくなるのでオススメです。
マフラーに溜まったカーボン汚れを効果的に溶解するためにも、適切な温度の溶剤を準備してください。
Step2.マフラーに薄めた溶剤を入れる
次に、溶剤をマフラーに注入します。マフラーの端を少し持ち上げて、ゆっくりと内部に流し込んでください。時折シェイクして、隅々まで溶剤が行き渡るようにするのも忘れずに。
コツは、内部の隅々まで溶剤をしっかり行き渡らせるように意識することです。この際、マフラーの排気口にビニールなどで封をしておくと良いでしょう。
マフラーを密閉し、溶剤が隅々まで行き渡るようにしてください。
Step3.数時間放置する

溶剤をマフラー内に入れた後は、数時間放置します。カーボン汚れを溶解させるためです。汚れが頑固な場合は、1日以上つけ置きしてください。溶剤がマフラー内部の汚れにじっくりと作用し、固着したカーボンを柔らかくして除去しやすくしてくれます。
原液の溶剤を長時間放置したくない場合は、水で薄めたり、放置する時間を短くしたりなど、マフラーの負担にならない方法を取ってください。
Step4.マフラー内の溶剤を排出する
溶剤を一定時間放置したら、次にマフラー内の溶剤を排出します。マフラー内部の汚れを、バケツなどに捨ててください。溶解した汚れをマフラー外に出すために、必要な工程です。
使用した溶剤によって、出てくる液体の濃さが異なります。汚れが落ちているほど黒くなるので、目安にしましょう。
Step5.水でマフラー内をすすぐ
溶剤を排出したら、次は水でマフラー内部をすすぎ洗いします。中に残った残留物を取り除いてください。マフラーを清潔に保つために必須の工程です。
出てくる水が無色になるまで、何度かすすぎましょう。この際、以下の点にも気を配ってください。
- 水がスムーズに出るか
- 中の汚れがしっかり取れているか
もし水がスムーズに出なかったり、中に汚れが溜まっていたりするようであれば、また溶剤を入れましょう。何度か繰り返すと綺麗になります。
Step6.乾燥させる
洗浄が終わったら、最後の工程としてマフラーを乾燥させてください。錆を防ぎ、マフラーの寿命を延ばすためにも重要です。以下の方法があります。
- 自然乾燥
- ドライヤー
- エアコンプレッサー
夏場であれば自然乾燥でもすぐに乾きますが、寒い時期になると数日間必要になります。急ぐ場合はドライヤーやエアーコンプレッサーなどを使い、乾燥を手伝ってあげましょう。
バイクのマフラーを内部洗浄する際のポイント

バイクのマフラーを内部洗浄する際、以下の3つのポイントに意識すると、綺麗な状態にしやすくなります。
- ワイヤーブラシを準備しておく
- お湯の温度をなるべく高くする
- 汚れが落ちるまで何度も繰り返す
ワイヤーブラシを準備しておく
マフラーの内部洗浄をする際、ワイヤーブラシを準備しておきましょう。溶剤では対処できなかったカーボン汚れを、物理的に削り取るのに最適な道具だからです。
溶剤だけでは完全に取り除けない汚れもあるので、念のために準備しておくと効果的です。
お湯の温度をなるべく高くする
溶剤を溶かして使用する場合、なるべく高めの温度のお湯を用意しておくと良いでしょう。温度が高いとカーボン汚れや油分をより簡単に溶解し、除去できます。食器洗いで、高い温度のお湯だと油汚れを落としやすいのと同じ理屈です。
あまりにも熱いとマフラーに影響が出るため、50度くらいを目安に設定してみてください。薄めて使う場合は、水ではなくお湯にしてみるのもオススメです。
汚れが落ちるまで何度も繰り返す
マフラー内部の洗浄は、1度で綺麗にならないケースが多くあります。その場合、汚れを完全に除去するために、何度も洗浄しなければいけません。
洗浄後に残った汚れを確認し、必要に応じてブラッシングやすすぎ、溶剤を入れてみましょう。
マフラーの洗浄は根気が必要です。何度繰り返してもバイクの調子が変わらない場合は、洗浄ではなく交換も視野に入れて検討してください。
バイクのマフラーは定期的に内部洗浄をしよう

マフラーは、バイクにとって必須の部品です。汚れが溜まると排気効率が落ち、性能低下や異音の原因になります。なるべく定期的に内部を洗浄するようにしましょう。
内部の洗浄は、難しくありません。市販のアルカリ性の洗浄液さえあれば、誰でもできます。いつもよりバイクの調子が悪いなと感じたら、内部洗浄をしてみてくださいね。