ボイスボットとは?IVRとの違いと導入メリット |ボイスボットとは,ボイスボット ivr 違い,チャットボット ボイスボット

ボイスボットとは、人間ではなく機械が対応する
自動音声対話システムです。
AIを実装した技術で、会話の内容に合わせて自然なやりとりが可能になります。
ボイスボットとIVR、チャットボットの違いを正しく理解し、どの技術を導入すべきか考えていきましょう。
ボイスボット導入のメリットや、具体的な活用シーンについてまとめました。
ボイスボットとは
ボイスボットとは、AI(人工知能)を実装した、自動音声対応システムです。
コールセンターなどでスタッフに代わり、顧客の電話対応をします。
ユーザーが話をした内容に対し、AIがリアルタイムで会話を成立させていきます。
自動対応を行い、必要があればスタッフへ転送を行いますので、電話対応スタッフの負担を軽減させられます。
ボイスボットの仕組み
ボイスボットに活用される技術は、主に以下の4つになります。
それぞれがどのような仕組みになっているのかをご説明します。
- 対話型AI
- 音声認識
- 自然言語処理
- 音声合成
対話型AI
対話型AIとは、ユーザーと対話ができるボイスボットです。
コールセンターのボイスボットを想像するとイメージしにくいかもしれませんが、Google アシスタントやSiriが代表的な対話型AIボイスボットとなります。
単純な質問であれば迅速に対応ができるというメリットがありますが、複雑な質問や曖昧な表現には弱いという側面があります。
音声認識
音声認識とは、人が発した音声データをテキストに変換させる技術です。
身近なものではアレクサやSiriが音声認識を活用しており、会議の議事録作成などにも使われています。
音声認識はまだ未完成な部分もあり、2人以上が同時に話をする場合にはテキスト化が難しくなります。
また方言やアクセント、専門用語や技術用語が含まれると、精度が低下する可能性があります。
自然言語処理
自然言語処理とは、普段使っている日常的な自然言語を処理させる一連の流れを指します。
話し言葉や書き言葉といった自然言語が持つ曖昧な言語をコンピューターで解析し、ユーザーの意図や感情までも解釈できるようになります。
予測変換や対話システムで活用されており、身近な例ではメールフィルターや予測テキスト、検索エンジンの検索結果などが挙げられます。
音声合成
音声合成とは、コンピューターにより人工的に人間の声を合成する技術です。
数十年前からカーナビや公共放送のアナウンスといった場面で活用されている技術で、歴史は古いです。
近年ではAIの発展により、音声合成はより自然なコミュニケーションスキルと変化しつつあります。
従来の音声合成と比較すると、多様な表現が可能になってきています。
ボイスボットとIVRの違い
IVRとは、Interactive(対話式) Voice(声) Response(応答)の頭文字をとった言葉で、自動音声応答システムを指します。
顧客が自動案内を聞きながら、プッシュボタンで操作していくシステムです。
選んだ番号により、あらかじめ準備された音声が自動再生されるものです。
宅配便の再配達操作や病院の予約受付などで活用されており、多くの人が一度は利用した経験があるでしょう。
IVRは顧客にとっては最後まで選択肢を聞かなければならず、急いでいる時はストレスになるというデメリットがあります。
また操作を誤ると最初からやり直しをしなくてはならず、顧客の負担になってしまう場面もあります。
ボイスボットとチャットボットの違い
AIを実装している技術であるチャットボットは、
ボイスボットと混合されやすいです。
主な違いは、ボイスボットが音声応答なのに対し、チャットボットはテキストで対応するという点です。
特定の処理を自動で行うという点は共通していますが、顧客の利用シーンが異なります。
ボイスボットは電話などの音声コミュニケーション、チャットボットはパソコンやスマホでの画面上のコミュニケーションとなります。
ボイスボットの導入メリット
ボイスボットを導入する5つのメリットをご紹介します。
- コールセンターの業務効率化
- オペレーター人材の定着に貢献
- 機会損失回避への対策になる
- シナリオの更新作業が容易
- 顧客満足度の向上が期待できる
コールセンターの業務効率化
従来は1件1件オペレーターが対応していたコールセンターでの問い合わせを自動対応できるようになるので、業務の効率化が期待できます。
内容によってはボイスボットのみで対応完了できるケースもありますので、より多くの問い合わせに対応できるようになります。
有人対応が必要な場合のみオペレーターが応答すればいいので負担が軽減され、オペレーターは他の業務をこなせるようにもなるでしょう。
オペレーター人材の定着に貢献
オペレーターは離職率が高い職種です。
覚える内容が膨大であり、精神的な負担が大きいという理由があるからで、企業としては人材が定着しにくいという悩みがあります。
しかし初期対応でボイスボットを導入し、最初にヒアリングを行い接客対応の振り分けをすればオペレーターのストレス軽減になり、人材の定着が期待できます。
オペレーターは特定のジャンルにのみ対応できれば良いので、人材育成もしやすくなるでしょう。
呼損などの機会損失回避への対策になる
コールセンター対応の悩みに、あふれ呼や放棄呼があります。
あふれ呼とはオペレーター不足により対応しきれない状況で、放棄呼とは顧客がオペレーターにつながる前に電話を切ってしまう状況です。
また平日の昼間しかオペレーター対応ができない場合は、夜間や休日にしか電話をかけられない顧客の問い合わせを逃してしまいます。
24時間365日対応可能なボイスボットを導入すれば、
このような機会損失を防げるようになるといえるでしょう。
シナリオの更新作業が容易
IVRだと分岐が増加するごとに変更や更新に手間がかかります。
しかしボイスボットであれば、シナリオの表現や選択肢を比較的容易に変更できるというメリットがあります。
期間限定のキャンペーンにも柔軟に対応可能となり、
緊急時のシナリオの追加もできます。
常にシナリオの更新や追加が必要になってきますので、更新作業がしやすいというのは運営側にとっては導入のポイントとなるでしょう。
顧客満足度の向上が期待できる
ボイスボットが導入されていない状態だと、顧客はオペレーターにつながるまでに時間がかかりストレスを感じます。
しかしボイスボットを導入すれば、簡単な対応であればボイスボットで完了します。
IVRのプッシュボタンの案内を最後まで聞く必要がなく、番号入力の操作のわずらわしさもありません。
このような迅速な対応が可能になるため、顧客満足度の向上につながります。
ボイスボット導入の課題
企業にとっても顧客にとっても多数のメリットがあるボイスボットですが、その一方でこのような課題もあります。
- 複雑な質問に弱い
- IVRより精度が劣る場合がある
- 常に精度の改善が必要
複雑な質問に弱い
ボイスボットは怒りや悲しみといった複雑な心情を読み取るという面では、課題があります。
そのため想定外の複雑な質問や問い合わせとなると、
対応しきれません。
クレーム対応や独特な質問、相談といった内容になると、ボイスボットでの対応は難しいでしょう。
また周囲に騒音となる音が入ってしまうと、顧客の発声を解析しにくくなってしまうという問題点もあります。
IVRより精度が劣る場合がある
音声認識の精度に課題があるボイスボットは、ご認識が起きないとも限りません。
そのためIVRで顧客が自ら番号入力をする方が、正確に問い合わせ内容を把握できるという一面があります。
メリットをチェックすると一見、IVRよりも優れているようなボイスボットですが、活用シーンによるといえます。
ボイスボットかIVRのどちらかが優れているという問題ではなく、シーンに合わせて適切に使いこなせるかがポイントです。
常に精度の改善が必要
ボイスボットは自動応答により、AIが学習を重ねていきます。
そのため運用期間が継続されていくごとに、応対品質の向上が期待できます。
導入段階でも精度の高いボイスボットですが、常に精度の向上を目指し、顧客対応を繰り返し学習させていく必要があります。
ボイスボットの活用シーン
ボイスボットの具体的な活用シーンとして、以下のような場所があります。
- 通信販売の電話注文受付
- 金融・保険業界の問い合わせ対応
- 飲食店や宿泊施設の電話受付
- 地方自治体の電話受付
通信販売の電話注文受付
ECサイトやテレビやカタログ、ラジオの通信販売で、
電話注文を受ける際にはボイスボットが活躍します。
注文を受ける時の会話はほぼ同じ流れで、定型の会話で完了できる代表的なシーンだからです。
テレビやラジオでよくある「ただいまから30分に申し込むと特別価格」というような電話が殺到する場面でもボイスボットが導入してあれば対応が可能です。
自動的に、かつスピーディーに顧客対応ができるので、注文の取りこぼしがありません。
金融・保険業界の問い合わせ対応
インターネットバンキングの利用者が増加しており、
銀行などの金融環境も変化しつつあります。
銀行の店頭窓口や電話受付でボイスボットが導入されてきています。
保険業界では、時間外の対応だけでなく、自然災害時にもボイスボットが活躍すると考えられます。
保険料控除証明書の再発行といったスピード感が求められる業務も、ボイスボットで対応できるようになります。
飲食店や宿泊施設の電話受付
飲食店や宿泊施設ではインターネット予約が増加しているとはいえ、やはりまだ電話注文が多いです。
これらの施設は電話がよく鳴るけれど、常駐のオペレーターが在籍しているわけではありません。
他にやるべき業務を抱えたスタッフが、電話対応をしなくてはいけないという状況になってしまいます。
そこでボイスボットを導入すると、スタッフが本来やるべき業務に集中できるようになります。
外国人観光客の多い地域では、多言語で対応できるというボイスボットの特徴が活かされるでしょう。
地方自治体の電話受付
ボイスボットは地方自治体の電話受付でもすでに導入されています。
日常的な業務の問い合わせだけでなく、シナリオの更新が容易なので祭りやイベントといったイベント時の問い合わせにも対応できます。
職員の負担を減らしつつ、住民や観光客にとってもスムーズに問い合わせできるので、双方にメリットがあります。
ボイスボットの活用ポイント
ボイスボットを導入する際に覚えておきたい、活用のためのポイントを確認しておきましょう。
- オペレーターと連携がとれるようにしておく
- 定期的なメンテナンスを行う
オペレーターと連携がとれるようにしておく
ボイスボットを導入したとしても、全ての問い合わせをボイスボットだけで完結できるわけではありません。
複雑な問い合わせでボイスボットで対応できない場合は、すぐにオペレーターにつながるようにしておきましょう。
顧客は「早くオペレーターにつないでほしい」と思っている場合も少なくありませんので、ストレスを感じさせる前に適切な対応ができるようにしておきましょう。
定期的なメンテナンスを行う
ボイスボットを運用していくのであれば、顧客の音声データを分析し、問い合わせ内容を解析していく必要があります。
AIの精度を向上させていくためには、定期的なメンテナンスをしていかなくてはいけません。
認識ミスが起こりやすい箇所は決まってはいないか、
誤回答をしてしまってはいないか、などを確認していきます。
顧客が最後まで電話していたかを確認する完了率などのデータも合わせ、ブラッシュアップを重ねていきましょう。
ボイスボットは市場導入期
ボイスボットは市場導入期にあり、今後はさらに活用の幅が広がっていくと予想されています。
多様なシーンで活用できるボイスボットですが、ボイスチャットやIVRとの違いを正しく認識し、最適なシステムを導入するようにしましょう。
ボイスボットは対話型ではありますが、音声認識という部分で課題があります。
独特な質問や曖昧な表現、クレームといった複雑な会話には対応しきれない可能性があります。
「なぜボイスボットを導入するのか」を考え、どう活用していくべきかを考えていきましょう。