バイクのパワーフィルターの効果とは?メリットやデメリット、選び方のポイントも解説

バイクのエンジン性能を維持するために重要なパーツであるエアクリーナーですが、エアクリーナーをパワーフィルターに付け替えた場合の効果が気になる方は多いのではないでしょうか。
本記事では、パワーフィルターの期待できる効果やデメリットについて解説します。
結論として、パワーフィルターは純正のフィルターよりもより多くの空気を取り込めるようになるため、エンジン性能を向上させることが期待できますが、メンテナンスを疎かにしてしまうと性能を十分に発揮できないので、注意が必要です。
また、購入して後悔しないためのパワーフィルターの選び方についても説明していきますので、バイクのエンジンをパワーアップさせたい方は、この記事を参考にエアクリーナーとパワーフィルターの違いやそれぞれの違いを理解し、適切なものを選びましょう。
エアクリーナーの役割

バイクのエンジンには、一般的に空気を取り入れる入口部分に純正のフィルターであるエアクリーナー(エアフィルター)が取り付けられています。
エンジン内にゴミや砂ぼこりなどの進入を防ぐのがエアクリーナーの役割です。
エンジンは、取り入れた空気と燃料を気化させたものとを混ぜ、その混合気を燃焼させ爆発させることで動力を得ていますが、大気中にはホコリや砂などの不純物が多く含まれており、エンジンにこれらが混入してしまうと、燃焼に異常が起きたり、エンジンの破損の原因になったりすることがあります。
そのため、エアクリーナーがエンジンを守る重要な役割を果たしているのです。
バイクのパワーフィルターとは

パワーフィルターは、バイクのエアクリーナーの代わりに装着するもので、エアクリーナーよりも多くの空気を取り込んで、吸気効率を向上させるためのパーツです。
純正のエアクリーナーでも空気を取り込みますが、エアクリーナーボックスが空気抵抗を作り出すため、吸収量が抑えられてしまいます。
ですが、パワーフィルターを取り付けることで純正のフィルターよりも多くの空気を取り込み、エンジン内の爆発力が大きくなり、スピードやパワーが増大するという仕組みです。
パワーフィルターの交換費用
パワーフィルターの交換費用は、バイクの車種や商品によっても異なりますが、5,000円前後が目安です。
純正のエアクリーナーは2,000〜3,000円程度で購入できるものが多いため、価格がやや高くなります。
自分で交換を行う場合は商品を購入したショップに依頼することになりますが、その場合は工賃も別途必要です。
パワーフィルターの交換時期
エアクリーナーの交換時期は約50,000kmですが、パワーフィルターは汚れやすく、こまめな清掃や交換が必要となります。
パワーフィルターを交換する目安としては、10,000〜20,000km程度です。
パワーフィルターの交換を怠っていると、以下のトラブルを発症する可能性があります。
- 燃費が悪くなる
- エンジンのかかりが悪くなる
- エンストする
- 突然エンジンが停止する
そのため、定期的なメンテナンスを忘れないようにしましょう。
パワーフィルターの効果

パワーフィルターを取り付けると、主に以下4つの効果が期待できます。
- パワーアップ
- 吸気音が聞こえやすくなる
- 燃費の改善が期待できる
- メンテナンスがしやすい
パワーフィルターは空気中のゴミやホコリを取り除きながら、エンジンへより多くの空気を送り込めることから、設計バイクの性能向上や燃費改善に効果を発揮するのです。
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
パワーアップ
パワーフィルターは、主に吸気効率の向上を目的として設計されています。
パワーフィルターがあると、エンジン内に空気が取り込まれる前にフィルタリングしてゴミやホコリをキャッチし、エンジンにより多くの空気を供給できるため、パフォーマンスを向上させることができるのです。
その結果、加速感の向上や高回転域でのパワーアップが期待できます。
吸気音が聞こえやすくなる
パワーフィルターを取り付けることでエンジンの音色にも影響を与えます。
純正のエアクリーナーは吸気音を抑える構造になっていますが、むき出しのパワーフィルターはエンジンの吸気音がダイレクトに聞こえやすいです。
そのため、スポーティーで迫力のある印象に変わります。
燃費の改善が期待できる
パワーフィルターによって吸気効率が向上することで、燃費の燃焼効率が向上することが期待できます。
一般的にパワーフィルターは、エンジンへの空気流入量を増加させるため、特に高速道路で長距離を走行する場合などのように、エンジンが安定して稼働する場合には、燃費が改善され、ガソリン代を節約できる可能性が高いです。
ただし、実際の効果については取り付けたパワーフィルターの種類やバイクの走行条件、エンジンの状態など様々な条件によるため、必ずしも燃費の改善効果があるわけではないと覚えておきましょう。
メンテナンスがしやすい

パワーフィルターは清掃や交換などが比較的容易にできるため、メンテナンスがしやすい点もメリットです。
定期的なメンテナンスはエンジン性能の向上にも直結しますし、フィルターを綺麗に保てると長持ちするため、結果的にメンテナンス費用を抑えることができるでしょう。
パワーフィルターのデメリット

パワーフィルターがあることで多くのメリットが期待できる一方で、以下のデメリットがある点を覚えておきましょう。
- 吸気音による騒音
- 低速域でのトルク感に影響を及ぼす
- メンテナンスの頻度が高くなる
- ランニングコストが上がる
- エンジン性能が向上しないケースがある
それぞれ詳しく説明していきます。
吸気音による騒音
パワーフィルターを取り付けると、純正のフィルターよりも多くの空気を取り込めるようになるため、バイクの吸気音が顕著に大きくなる場合があります。
ライダーにとっては魅力に感じても、周りの人にとっては騒音に感じてしまう可能性があるので、注意が必要です。
特に、加速時に音が際立つため、静かな乗り心地を好む人や静かな住宅街を走行する方にとっては不向きであるといえるでしょう。
そのため、パワーフィルターの取り付けを検討する際は、自分の走行環境や好みはもちろん、音の変化とそれが周囲に与える影響なども十分に考慮することが大切です。
低速域でのトルク感に影響を及ぼす
パワーフィルターを取り付けると吸気抵抗の低減が期待できますが、それがトルクバンドの高速回転化を引き起こして低速域での加速感が弱まり、エンジン反応が鈍くなる恐れがあります。
高速道路での走行のように高速域でパワーを発揮できても、渋滞時や街乗りなど低速での運転には向かない可能性が高いです。
そのため、バイク初心者の方や普段から低速運転をしている方にとっては、乗り心地が悪くなることがあります。
メンテナンスの頻度が高くなる

パワーフィルターは純正のエアクリーナーよりも高いフィルタリング性能を発揮しますが、その分汚れやすく、清掃や交換などメンテナンスの頻度が高くなります。
これらを疎かにしたり不適切なメンテナンスをしたりしていると、エンジン性能の低下に繋がる恐れがあるため、注意が必要です。
インジェクション車は燃料を自動で調整してくれるため、エンジンの不調が分かりづらく、「気付いたら燃費が悪化していた」ということもあり得るので、不調を感じなかったとしても、定期的な点検や交換を行うと良いでしょう。
パワーフィルターのメンテナンス方法
パワーフィルターのメンテナンス方法は商品によって異なるため、取り扱い方法を確認する必要がありますが、エアーでゴミを吹き飛ばしたり、フィルターの材質がスポンジであれば、基本的に専用の洗剤で水洗いした後、自然乾燥させて、オイルを少量揉み込んだりして綺麗にします。
価格が安いものは水洗いできず、汚れたら交換しなければならない可能性が高いです。
パワーフィルターが汚れているにも関わらずバイクを走行させると、エンジン不調となり燃費や加速性能が低下する恐れがあるので、定期的にメンテナンスをして綺麗に保ちましょう。
ランニングコストが上がる
パワーフィルターは、エアクリーナーに比べて購入費用がやや高くなる傾向にあります。
さらに、パワーフィルターを取り付けた後、エンジン性能を向上させるためには、適切なキャブレターやインジェクションの調整が必要です。
このセッティングを行うには専門的知識や技術が要するため、自分で行えない場合はバイクショップなど専門店に依頼しなければならず、ほかにも、前述した通り定期的なパワーフィルターの交換、メンテナンスも要します。
その結果、購入費用やメンテナンス費用、ショップに依頼した場合の工賃など、様々な費用がかかる点を考慮しなければなりません。
エンジン性能が向上しないケースがある
エンジン性能を向上させる目的でパワーフィルターを取り付けるのですが、実際には「エンジン性能が上がらない」「意味がない」と感じるライダーもいるようです。
先述した通り、パワーフィルターの種類やバイクの使用条件、エンジンの状態など様々な条件に左右されますし、汚れやすいパワーフィルターの定期的な交換やメンテナンスをしなければパワーを最大限に発揮できないからです。
逆に、パワーフィルターを取り付けたことによってエンジンへの負荷が増える可能性もあり、長期的に見てエンジンの耐久性に影響を与えてしまう場合がある点を覚えておいた方が良いでしょう。
パワーフィルターの選び方

パワーフィルターは数多くの種類のものが販売されているため、どれを選べば良いか迷ってしまう方もいるでしょう。
そこで、パワーフィルターの失敗しないための選び方について説明していきます。
サイズが合っているか
バイクにパワーフィルターを取り付けるためには、キャブレターの径に適合している必要があります。
キャブレターの径はバイクの車種やキャブレターの種類によって異なるため、パワーフィルターにも様々な種類が存在するのです。
そのため、購入前にキャブレターの径を計測しておかなければなりません。
形状で選ぶ
パワーフィルターには、筒型わキノコ型など様々な種類があり、それぞれに特徴があります。
また、フィルターの素材も金属やスポンジやスポンジなど商品によって異なります。
バイクによってキャブレーター部分のスペースが違うため、スペースがない場合は多少変形しても問題がないスポンジタイプを選ぶのがおすすめです。
また、キノコ型は吸気効率を上げるのに適した形状のため、より吸気量を増やしたい場合はキノコ型を選ぶと良いでしょう。
雨天対応であるか
パワーフィルターを装着したバイクで雨の中を走行すると、フィルターが雨水を吸い込んでしまい、空気を吸い込みづらくなる可能性があります。
そうすると、空気と燃料の混合比が悪くなり、最悪の場合エンストしてしまう恐れがあるのです。
そのため、天候が悪い中でもバイクを走行することがある場合、雨天時でも使えるカバー付きのパワーフィルターを選ぶと良いでしょう。
信頼できるメーカーの商品を選ぶ
サイズや形状、対応可能な天候を考慮したうえで、信頼できるメーカーで選ぶのがおすすめです。
安く購入できるノーブランドのパワーフィルターも多くありますが、エンジンを動かすのに重要なパーツであるため、性能や耐久性を考えると実績の豊富な有名メーカーのものが安心できるでしょう。
パワーフィルターの役割や効果を理解して使ってみよう

パワーフィルターを取り付けると、一般的に純正のフィルターよりも多くの空気を取り込むことができるようになり、主に以下の効果が期待できます。
- パワーアップする
- 吸気音が聞こえやすくなる
- 燃費の改善が期待できる
- メンテナンスがしやすい
ただし、同じくらいのデメリットもあるほか、純正のものよりもさらに頻繁なメンテナンスが必要になります。
そのため、メリットとデメリットそれぞれを把握し、必要性を感じた場合に取り入れるのがおすすめです。
パーツを細部までにこだわり、試行錯誤しながら自分好みに仕上げるのがバイクの醍醐味なので、ぜひこの記事を参考にベストなアイテムを選択していただけたらと思います。