吸入器の選び方7つのポイント|ネブライザーの特徴を知って適切に選ぶ

喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器系の病気の治療で、吸入器を使用します。

家庭用の吸入器がありますので、症状に合わせて医師から話があれば購入を検討しましょう。

自宅で使用できる吸入器とは、どのような種類があるのでしょうか。

ネブライザーの種類やそれぞれの特徴、どういったポイントで吸入器を選ぶべきかをご説明します。

吸入器を使用する本人の状況はもちろん、メンテナンスをする家族にとっても吸入器選びは重要です。

家庭の環境や症状に合わせて、適切な吸入器を選べるようにしましょう。

吸入器ネブライザーとは

吸入器ネブライザー

ネブライザーとは、吸入薬を霧状にして吸い込むための吸入器です。

乳幼児や高齢者といった吸入が難しい人でも、確実に吸入薬を気管支まで届けられます。

小児の医療機関では「モクモクしようね」と子供に声をかけ、機械を口にあてて吸入します。

医療機関でのみ使用できるものかとお考えの方がいるかもしれませんが、ネブライザーは家庭でも使用できるものです。

処方された吸入薬をセットして、発作がおきる前や発作時に使用します。

医師から家庭での使用を勧められたら、購入を検討していきましょう。

吸入器ネブライザーの種類

吸入器種類

家庭で使用できるネブライザーは、大きく3つの種類に分けられます。

それぞれ特徴がありますので、どのタイプがいいか比較してみましょう。

  • ジェット式ネブライザー
  • メッシュ式ネブライザー
  • 超音波式ネブライザー

ジェット式ネブライザー

コンプレッサー式ネブライザーと表記される場合もあるジェット式ネブライザーは、空気を圧縮する力で薬液を噴射するという仕組みになっています。

病院で処方されるほとんどの吸入薬が使用でき、お手入れが比較的簡単であるという点がメリットです。

一方、動作音が大きいというのが悩みになるかもしれません。

「就寝時に使用したい」「子供が使うから大きい音だと抵抗感を感じる」という場合は、よく考えて購入しましょう。

メッシュ式ネブライザー

メッシュ式ネブライザーとは、薬液をメッシュの穴から押し出して霧状にするという仕組みです。

動作音が静かで、傾けての使用も可能なので就寝時に使用しやすいというメリットがあります。

吸入器そのもののサイズ感がコンパクトで持ち運びが可能なので、旅行先などの外出時、緊急外来で病院に向かう時の車内でも使用できます。

デメリットとしては、使用できる薬液が限定されてしまうという点です。

メッシュ式ネブライザーは購入前に医師に相談するよう、覚えておきましょう。

超音波式ネブライザー

超音波の振動によって薬液を噴射するのが、
超音波式ネブライザーです。

大型の吸入器で、長時間の吸入にも使用できるというのが最大のメリットです。

霧の噴射量が多く、医療機関でも使われる本格的な吸入器です。

一方、メンテナンスが面倒なので、ご家族の負担が大きくなる可能性があります。

大型なので持ち運びは想定されておらず、外出先でも使用するのであれば不向きです。

メッシュ式と同様に使用できる薬剤が限られるので、
購入前に医師に相談した方がいいでしょう。

吸入器ネブライザーの選び方

吸入器選び方

特徴が異なるネブライザーは、どのように選んでいけばいいのでしょうか。

それぞれのメリットとデメリットがありますので、
選び方のポイントをご紹介します。

ジェット式メッシュ式超音波式
サイズ感
動作音
パワー
お手入れ
薬液対応
  • サイズ感で選ぶ
  • 動作音で選ぶ
  • パワーで選ぶ
  • 利用シーンで選ぶ
  • 吸入口のタイプで選ぶ
  • お手入れのしやすさで選ぶ
  • 薬の種類で選ぶ

サイズ感で選ぶ

家庭で吸入器を購入するのであれば、使用する時のサイズ感が気になるのはもちろん、収納スペースも確保しておかなくてはいけません。

サイズや重さはネブライザーの製品ごとに異なりますので、確認しておきましょう。

据え置きで使用するネブライザーは、コンセントが必要になるものもあります。

外出時でも使用したい場合は、コンパクトで乾電池で使用できるメッシュ式ネブライザーがおすすめです。

動作音で選ぶ

ネブライザーを使用する時の動作音が大きいと、気になるという方もいるでしょう。

「マンションなど音が響きやすい環境である」
「夜中に使用する場合がある」という場合は、動作音が静かなネブライザーを選ぶといいでしょう。

動作音で選ぶなら、メッシュ式ネブライザーがおすすめです。

ジェット式ネブライザーは、「静音設計」という表記があったとしても動作音が気になるかもしれません。

パワーで選ぶ

パワーの差はそれほど気にならないかもしれませんが、例えば「家族で複数名使用したい」というような環境で長時間稼働する可能性があればパワーも確認した方がいいでしょう。

長時間利用を想定するのであれば、超音波式ネブライザーがおすすめです。

利用シーンで選ぶ

吸入器選び方

ネブライザーを使用するシーンや家庭の環境も考えてみましょう。

まずは誰が使用するネブライザーなのか、という点で、「傾けても使いやすいものがいい」「コンセントに繋がず使用できるものがいい」などの希望が出てきます。

自宅でのみ使用するという想定でも、子供が吸入を嫌がって逃げ回るようであれば乾電池使用ができるネブライザーが便利です。

深夜に使用する場合、「大人本人が起き上がってネブライザーを使うから動作音は気にしない」という家庭があるかもしれません。

しかし子供が寝ている寝室まで音が響いて気になるという状況になると、やはり動作音は気になります。

ネブライザーを使用するご本人の希望や使いやすさを考慮すると共に、視野を広く想定してみましょう。

吸入口のタイプで選ぶ

ネブライザーの種類ではなく、製品によって吸入口に違いがあります。

マウスピースタイプか、マスクタイプです。

マウスピースタイプは、太めのストローのような形状の吸入口になっていて、くわえて吸入します。

やや深めにくわえ、噴射された薬液が肺まで届きやすくなります。

マスクタイプは、鼻と口を覆う形状の吸入口になっています。

呼吸がしやすく噴霧をしっかり吸入できるので、乳幼児の吸入におすすめです。

お手入れのしやすさで選ぶ

ネブライザーは基本的に1回使ったら水洗いをします。

気管支や肺に直接お薬を届けるためのものなので、
お手入れには神経を使うでしょう。

お手入れという面でおすすめなのが、メッシュ式ネブライザーです。

コンパクトな吸入器なので部品が少ないですし、
メッシュ部分を捨てられる製品もあり衛生的です。

お手入れの手間がかかるのが、パーツが多い超音波式ネブライザーです。

将来的にパーツを買い替える可能性がある場合、
大手メーカーの吸入器を選んでおくという方法があります。

パーツの種類が豊富であったり、吸入器そのものは廃版になっていたとしてもパーツだけは購入できるという可能性があります。

薬の種類で選ぶ

お伝えした通り、メッシュ式ネブライザーと超音波式ネブライザーは使える薬液が限られてしまいます。

吸入薬を処方する医師と相談して購入すれば問題ありませんが、幅広い吸入薬に対応した吸入器を選びたいのであればジェット式(コンプレッサー式)ネブライザーがおすすめです。

吸入器ネブライザーと吸入器スチーマー

吸入器スチーマー

「吸入器」と表記されるものは、医療機関で処方された薬液を噴射するネブライザーと、水を入れて喉を潤すスチーマーがあります。

喉のイガイガとしや不快感や鼻のムズムズを緩和させるためには、スチーマーを使用します。

喉を温めると細菌やウイルスの増殖を抑えられるので、乾燥した喉を潤して体調を整えていきます。

ボーカリストが喉のメンテナンスをするために、スチーマーを使用する場合もあります。

このように「吸入器」と表記されるものには、ネブライザーとスチーマーの違いがあり、目的が異なります。

薬液を入れるネブライザーなのか、水を入れるスチーマーなのか、間違えないようにしましょう。

異なる液体を入れて吸入器を使用すると、故障の原因になる場合があります。

おすすめの吸入器

家庭用で使用するおすすめの吸入器をご紹介します。

  • オムロン|ハンディ吸入器
  • エー・アンド・デイ|ポータブル型超音波吸入器
  • メディケン|ネブライザー(メッシュ式)

オムロン|ハンディ吸入器

オムロンのスチーマータイプの吸入器で、水道水を入れて喉を加湿するものです。

持ち運びができるタイプなので、場所を選ばず使用できます。

メッシュは使い切りタイプなので常に衛生的に使用でき、メンテナンスの手間も負担になりません。

有名メーカーの吸入器を選びたいという方にもおすすめです。

吸入器タイプスチーマー
サイズ(幅×高さ×奥行き)45×125×70mm
重量約110g
電源単3形アルカリ乾電池2個
価格9,980円
いますぐ購入
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エー・アンド・デイ|ポータブル型超音波吸入器

超音波振動によって水を噴射するスチーマータイプの吸入器です。

生理食塩水が使用でき、喉や鼻を洗浄、加湿して不快感を改善させます。

ポケットサイズで本体は60gと軽量なので、カバンの中に入れて持ち運びをしても負担になりません。

吸入器タイプスチーマー
サイズ
(幅×高さ×奥行き)
44.8×94×41.7mm
重量約60g
電源単3形アルカリ乾電池2個
価格6,980円

メディケン|ネブライザー(メッシュ式)

処方された薬剤を入れて使用する、メッシュ式ネブライザーです。

シンプルで使いやすく、傾けても吸入できるので、小児の就寝中でもおすすめの吸入器です。

吸入口はマウスピースとマスクが双方付属していますので、使いやすい方を選べます。

電源はUSBからでも乾電池でも使えるタイプなので、使用場所に合わせて使い分けてもいいでしょう。

吸入器タイプメッシュ式ネブライザー
サイズ
(幅×高さ×奥行き)
54×115×46mm
重量約85g
電源単3形アルカリ乾電池2個
or
ACアダプター
価格オープン価格

吸入器ネブライザー使用時の注意点

ネブライザーを使用する際には、以下ような注意点がありますので覚えておきましょう。

  • 吸入したら忘れずにうがいをする
  • 常に清潔な状態で使う
  • 吸入中は目を離さない
  • 頻繁に発作があれば受診を

吸入したら忘れずにうがいをする

ネブライザーでステロイド薬を吸入したら、うがいをして口腔内を綺麗にしましょう。

口腔内にステロイド薬が付着すると、声が枯れる、カビが増えるといった副作用のリスクがあります。

副作用を軽減させるために、使用後のうがいを忘れないようにしましょう。

常に清潔な状態で使う

ネブライザーは気管支や肺に直接薬の成分を届けるためのものです。

清潔な状態で使用しないと、カビや汚れも体内に吸い込んでしまうという状態になります。

使用後には洗浄する、パーツを定期的に消毒するといったメンテナンスが必要です。

パーツが多いとメンテナンスが大変ですが、細かい部分まで清潔に使用できるというメリットがあります。

吸入中は目を離さない

子供が吸入をしている時は、目を離さないように側についているようにしましょう。

「顔色や呼吸に変化がないか」「気分が悪くなっていないか」など、様子を確認してください。

「いつもと違う」「呼吸が苦しそう」という場合は、
すぐに使用を停止して、医療機関を受診しましょう。

頻繁に発作があれば受診を

吸入器を使う目的は「病院に行かなくても吸入できるようにするため」という家庭が多いでしょう。

しかし吸入していても、発作が起きる場合があります。

自宅で対処しようとせず、必要があればすぐに医療機関を受診するようにしてください。

目的に合わせて吸入器を選ぼう

吸入器には、大きく分けて3つの種類があります。

ジェット式ネブライザー、メッシュ式ネブライザーと
超音波式ネブライザーです。

それぞれ特徴がありますので、使用する人の年齢や状況、家庭環境に合わせて、適切な吸入器ネブライザーを選びましょう。

薬液が限定されるタイプがありますので、医師への相談が必要です。

吸入器が自宅にあると、病院へ行く回数が減り、看病する家族は楽になるでしょう。

しかし吸入をしていても受診が必要な場合がありますので、過信しすぎずに必要があれば医療機関を受診してください。