z世代の消費行動の特徴と傾向|他世代との違いを理解したマーケティングを

Z世代とは1990年代後半から2000年代に生まれた人を表します。
今後消費の中心となっていく世代とされており、その消費行動の特徴や傾向は多数の企業が注目しています。
〈この記事を読んでわかる内容〉
Z世代が何を考えているのか
他の世代との明確な違いは何か
Z世代の消費行動の傾向
Z世代に向けたマーケティング施策
他の世代との違いも合わせて確認しながら、Z世代の特徴をひも解いていきましょう。
Z世代とはデジタルネイティブの世代

Z世代とは若者を表現する時に用いられる言葉ですが、明確な定義についてご存知でしょうか。
なぜZ世代だけが注目されるのか、その消費行動の特徴についてご説明します。
- Z世代の定義
- Z世代が注目される理由
- 世代別消費活動の違い
Z世代の定義
Z世代とは、一般的に1990年代後半から2000年代生まれの人を指します。
明確な定義があるわけではありませんが、アメリカで1960~1970年代に生まれた世代をジェネレーションX(X世代)と表現し、次いで1980~1990年代に生まれた世代をミレニアム世代(Y世代)としたのが始まりです。
生まれた時からインターネットがあるのが当たり前の世代で、「デジタルネイティブ」「ソーシャルネイティブ」とも呼ばれます。
Z世代が注目される理由
Z世代は今後消費の中心になっていくと予想される世代なので、企業としてもマーケティングの重要性を感じています。
日本国内は少子化傾向があるためにZ世代は人口の14%程度となりますが、世界規模では人口の30%以上がZ世代となります。
デジタルネイティブであるZ世代は、他の世代との消費行動に違いがあります。
従来までのマーケティングの常識では通用しなくなっていく可能性があるため、Z世代の消費行動が注目されています。
世代別消費活動の違い

X世代からZ世代、その下のα世代はインターネットとの関わり方に大きな違いがあります。
インターネットとの関わりの違いが、消費活動の傾向にも現れています。
年代 | 生まれ | ネットとの関わり | 消費の傾向 |
X世代 | 1960年代中盤~1980年代 | インターネットの普及 | モノ消費 |
Y世代 | 1980年~1990年代中盤 | インターネットと成長 | コト消費 |
Z世代 | 1990年代中盤~2010年代初頭 | インターネットが当たり前 | コト消費イミ消費トキ消費 |
α世代 | 2010年代初頭~ | 幼少期からプログラミング | ー |
Z世代は、仲間と時間を共有するトキ消費、社会へ与える意味を考えるイミ消費という傾向が強くなっていきます。
InstagramやX(旧Twitter)、YouTubeといったSNSから自分好みの情報をキャッチするだけでなく、自分自身の意見を発信するという能力にも長けています。
X世代はステータス重視のモノ消費
X世代は「デジタルイミグラント(移民)」とも呼ばれ、インターネットの普及と共に人生を歩んできた世代です。
テレビや雑誌が主な情報収集源だったという特徴があり、消費活動としてはステータスを重視する傾向にあります。
Y世代はコト消費
X世代はステータスを重視するモノ消費が一般的だったのに対し、Y世代になると体験や経験を重視するコト消費へと変わっていきます。
バブル崩壊やリーマンショックといった不況の影響を受けた世代であり、高級志向から移行していった世代ともいえるでしょう。
Z世代の特徴
ではZ世代ならではの特徴についてみていきましょう。
- インターネットで情報収集をする
- 「コスパ」や「タイパ」を重視する
- 多様性を受け入れ個人を大切にする
- 承認欲求が強い傾向がある
- 社会的な問題に関心がある
インターネットで情報収集をする

Z世代の情報収集源は、主にインターネットです。
基本的な情報リテラシーが高い世代で、情報収集の範囲やスピードを個人で調整できるSNSを中心に利用しています。
Z世代は行動のスピード感を重視するという傾向がありますが、これはSNSで望んだ情報がすぐに手に入るのが当たり前の時代に生きているからかもしれません。
「コスパ」や「タイパ」を重視する
支払った費用に対してのパフォーマンスを意識するコストパフォーマンスや、費やした時間に対するパフォーマンスを意識するタイムパフォーマンスが重視されています。
Z世代は情報に溢れており、その中で自分の欲しい情報を選び、消費活動に反映していきます。
欲しい物や体験したい物の情報は多いのに、物価高で使えるお金に制限が出ているという背景もあるでしょう。
いかに効率よく物事を進められるのか、日常生活の上でもこれらを重視する傾向にあります。
多様性を受け入れ個人を大切にする
自分自身の価値観やライフワークバランスを大切にしているZ世代は、他人に対しても理解が深く多様性を自然に受け入れている世代ともいえます。
自分にとって大切なものがわかっているので、仕事よりもプライベートを充実させる人もいますし、仕事とプライベートの両方を充実させたいと考える人もいます。
相手の多様な価値観を尊重し、自分自身も大切にできるのがZ世代の特徴のひとつです。
承認欲求が強い傾向がある

Z世代は自分を表現できる世代であるとともに、その承認欲求が強い傾向にあります。
SNSコミュニケーションが当たり前となっており、他の世代と比較すると周囲からの評価を気にしすぎているという特徴があります。
リアルな付き合いの場でも他者からの評価を気にするあまり、保守的になってしまう人もいます。
社会的な問題に関心がある
インターネットからの情報収集に長けているZ世代は、社会問題にも関心を寄せているという一面があります。
スマホから得られる情報をきちんと自分事として捉えられるので、社会問題の解決につながる企業や商品、サービスに興味を持つ人が多いです。
社会的な問題を自身の行動に移せる行動力があるのも、Z世代の優れた点だといえるでしょう。
Z世代の消費行動
Z世代の考え方や特徴を理解した上で、その思考が消費活動にどのような影響を与えているのかを確認していきましょう。
Z世代の消費活動には、これらの特徴があります。
- コト消費・イミ消費・トキ消費
- ブランドよりもコスパが大事
- 自分らしさを優先している
- 消費で失敗したくない
コト消費・イミ消費・トキ消費

Z世代の消費活動の特徴は、コト消費・イミ消費・トキ消費へと変化しています。
他の世代にあるような「みんなと同じ物が欲しい」という感覚は、あまりありません。
X世代やY世代だとテレビで全員同じ番組を見て、芸能人に憧れたり、同じギャグをして笑うのが当たり前でした。
しかしX世代のSNSでは無数のチャンネルがあるので、違う物を見ていて当たり前、「常に周りと同じでありたい」という感覚が薄いのかもしれません。
商品の物自体に重きをおくというよりは、経験や社会貢献、時間の使い方を意識しています。
ブランドよりもコスパが大事
Z世代はブランドよりも、コスパを大事にしています。
知名度の高さやネームバリューよりも、自分自身にとって価値があるものなのかを見極めています。
コスパが重要だからといって、単純に安ければ良いというわけではありません。
Z世代の心を掴もうとするのであれば、コスパやタイパといった費用対効果が高く、満足できる商品を提供していかなくてはいけません。
多くの情報を常に得ている世代なので、消費行動において自分が何を重視するべきなのかを理解しており、情報を選択する力に長けています。
自分らしさを優先している
多様性を認めているという特徴にもある通り、他人への理解があり、自分なりの向き合い方をわかっているのがZ世代です。
他人がどんなにオススメする商品でも、自分にとって本当に必要な物かを見極める力があります。
裏を返せば、他人にとって価値を感じない物であっても、自分自身で必要だと感じれば消費行動が活発になります。
一方で他人とシェアをするサブスクリプションサービスで充分だと感じれば、購入には至りません。
消費で失敗したくない
「自分にとって本当に必要な商品か」は、SNSなどのインターネットで情報収集をします。
価値のある物にはお金を出すという傾向がある通り、その分消費での失敗がないようにとリサーチに時間をかけるのもZ世代の特徴でしょう。
商品の公式PRだけでなく、口コミやインフルエンサーのPRにより、購入するべきかを判断していきます。
より細かな商品情報を求めているだけでなく、リアリティがあって共感できる情報を求めていると考えられるでしょう。
Z世代に向けたマーケティング施策

これらのZ世代の特徴、消費行動に対し、どのようなマーケティング施策を行っていくべきでしょうか。
- 商品開発の思いやストーリーを伝える
- リアルな体験を提供する
- 複数のチャンネルでアピールする
商品開発の思いやストーリーを伝える
Z世代は消費活動に意味を追求する傾向がありますので、商品やサービスが生まれた背景や製作側の意図を上手に伝えていくようにしましょう。
「なぜこの商品がいいのか」「お得感があるから」という点だけでなく、「この商品を購入すれば社会にどのような影響があるのか」という所まで意識しています。
また商品自体の背景だけでなく、企業が社会問題にどのように取り組んでいるのかも重要視されていると覚えておきましょう。
地球環境などの大きな問題への関わり方も、企業として積極的に発信していきましょう。
リアルな体験を提供する
Z世代の消費活動は、コト消費やトキ消費といった経験、その時間の共有に重きがおかれています。
その商品を購入したからこそ得られる体験が、消費活動のきっかけとなります。
- 購入した商品を友達と楽しむ
- SNSで自分が発信する
- 質の高い接客を提供する
Y世代以上には不思議に感じるかもしれませんが、質の良い接客は当たり前ではなく、付加価値のひとつになりつつあります。
スマホひとつで買い物ができるのが当たり前の世代にとっては、接客を受けて買い物をするというコミュニケーションも経験となるのです。
複数のチャンネルでアピールする
Z世代はSNSで複数のアカウントを所有する世代で、そのシチュエーションに合わせて適切な方法で情報収集をしています。
そのため企業側も多数のSNSで複数のチャンネルを運営し、適切なアプローチをしていく必要があります。
公式サイトだけでなく、InstagramやX(旧Twitter)というように複数の組み合わせを駆使して、Z世代への信頼を高めていきます。
SNSによっては、ユーザーのリアルな意見が聞ける場にもなりますので、複数アカウントを所持するのは企業にとってもメリットになります。
Z世代の消費行動の流れの例

Z世代の消費行動の例として、以下のような流れをたどります。
- SNSで商品を認知する
- レビューや口コミを検索する
- InstagramやECモールで購入する
SNSで商品を認知する
Z世代は欲しいものすらSNSで見つけます。
自発的に検索するというより、InstagramやX(旧Twitter)で目に留まった投稿から商品を認知する確率が高いのです。
投稿のいいねやコメントが多いほど良い商品だと認識し、さらに詳しい情報を知りたいと考えるようになります。
SNSがタッチポイントとなりますので、インフルエンサーを起用したブランドの認知拡大は後に購入につながる大切なプロセスだとわかります。
レビューや口コミを検索する
商品を認知したら、レビューや口コミをチェックします。
検索ツールはさまざまで、InstagramやX(旧Twitter)で商品名を検索したり、公式サイトを確認したり、口コミサイトを参考にしたりもするでしょう。
自分と同じような悩みを持っている人のレビュー、共感できる投稿を探していきます。
商品の特徴だけでなく、実際の使用感や、この商品を使ったら自分がどうなるか、を想像して商品購入を検討していきます。
InstagramやECモールで購入する
納得するまで検索して商品について調べたら、ECモールやInstagramでそのまま購入するケースもあります。
Instagramはショッピング機能があるので、インフルエンサーマーケティングでも購入に至りやすいSNSです。
商品について検索した後で店舗に出向くというよりも、そのままインターネット通販で購入する割合が多いです。
X世代やY世代のように「実際に手にとって見たい」という感覚は薄く、レビューや口コミで購入を決断します。
Z世代の消費活動に合うマーケティングを
Z世代はデジタルネイティブとも呼ばれ、インターネットやSNSが当たり前にある時代を生きています。
多くの情報から自分の欲しい情報を選び、物としての価値だけでなく、経験や仲間との時間をいかに楽しめるかという点を重視しています。
世代に合わせたマーケティング戦略を練り、商品やサービスをPRしていけるようにしましょう。