バイクのヘルメット着用は法律で義務? 違反しないためのポイントや選び方を解説

バイクに乗る際、必要になるのがヘルメットです。バイクライダーは、必ず装着しなければいけません。
一方で、ヘルメットは単純に装着すればOK、というわけでもない点が、難しいところです。細かな規定が存在しています。
そこで今回は、「バイクのヘルメット着用義務」について法律を交えながら解説します。ヘルメットは正しく着用すれば、命を守ってくれる道具です。バイク用のヘルメットを購入する際に知っておきたい種類や選び方についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
バイクはヘルメット着用が法律で義務付けられている

大前提として、バイク乗車時はヘルメットの着用が法律で義務付けられています。ノーヘルは禁止です。
ヘルメットと聞くと、衝撃から守ってくれるだけのように感じますが、実際は風や砂、埃などから目や顔を守る役割もあります。飛び石や花粉から、大切な顔を守れるのです。非常に役割が大きいことがわかります。
そんなヘルメットについて詳しく知るために、まずは以下を理解しておきましょう。
- 1965年から着用義務
- 違反すると罰則規定
- バイクの事故は頭部を守ることが最も重要
1965年から着用義務
国内のヘルメットに関する法律は古く、1965年から着用義務になっています。当初は高速道路での運転に限られていましたが、数度の変遷を経て、1975年に原付を含めた全てのバイクが、全ての道路でヘルメット着用となりました。道路交通法の第七十一条の四によると、以下のように定められています。
第七十一条の四
大型自動二輪車又は普通自動二輪車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転し、又は乗車用ヘルメットをかぶらない者を乗車させて大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転してはならない。
2 一般原動機付自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで一般原動機付自転車を運転してはならない。
3 特定小型原動機付自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。(中略)
8 第一項及び第二項の乗車用ヘルメットの基準は、内閣府令で定める。
道路交通法 第七十一条の四
バイクに乗る際は、法律に従って必ずヘルメットを着用しましょう。
違反すると罰則規定
ヘルメットを着用せずにバイクを運転した場合、違反点数が加算されます。反則金や罰金はありません。点数も1点と最も低いのですが、気を抜かないようにしてください。
また、同乗者がいた場合、同乗者にもヘルメットの着用義務があります。もしヘルメットを被せなかったら、運転者が責任を負わなければいけません。こちらも1点と小さな点数ですが、事故が起こると危険なので、必ず装着させてるようにしましょう。
バイクの事故は頭部を守ることが最も重要
バイクの事故で最も守らなければいけないのは、頭部です。警視庁が発表した2023年の「二輪車の交通死亡事故統計」を見ると、致命傷部位は以下のような比率になっています。
致命傷部位 | 割合 |
---|---|
頭部 | 49.7% |
胸部 | 25.7% |
腹部 | 9.6% |
その他 | 15.0% |
2018年~2022年の過去5年間で起こった死亡事故の内、約半分が頭部の致命傷です。バイクに乗車する際は、必ずヘルメットを着用し、頭部を守りましょう。
バイク用ヘルメットに欠かせない条件7項目

バイク用ヘルメットは、頭に被せられれば何でも良い、というわけではありません。以下のように道路交通法で定められています。
(乗車用ヘルメット)
道路交通法施行規則
第九条の五 法第七十一条の四第一項及び第二項の乗車用ヘルメットの基準は、次の各号に定めるとおりとする。
一 左右、上下の視野が十分とれること。
二 風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
三 著しく聴力を損ねない構造であること。
四 衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
五 衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
六 重量が二キログラム以下であること。
七 人体を傷つけるおそれがある構造でないこと。
これら7つの条件を満たすヘルメットでなければ、公道走行で使えません。安全性を満たしたヘルメットには「PSC
マーク」や「JISマーク」がついているので、マークを基準に選ぶと良いでしょう。
また、海外製品ではマークがついていないものもあります。安全基準が不透明なので、使用は完全に自己責任です。
寿命に注意する
ヘルメットを着用する際に気をつけたいのが、寿命です。経年とともに、内部の衝撃吸収剤などが劣化し、本来の性能を発揮できなくなっていきます。
製品によって異なりますが、5~7年ほど経過したら、新しいのを購入しましょう。
また、新品のヘルメットでも事故や転倒で激しく打ち付けた場合は交換してください。落とした程度なら問題ありませんが、大きな衝撃が1度でも加わると衝撃吸収剤が潰れてしまうためです。衝撃を吸収できなければ、ヘルメットを被っていないと変わりません。
事故の時に命を守るためにも、ヘルメットの寿命には気をつけましょう。
バイク用ヘルメットを選ぶ際でチェックしたい2つのポイント

バイク用のヘルメットを選ぶ際、チェックしておきたい2つのポイントがあります。以下は快適に使う際に重要なので、意識して確認しましょう。
- 安全性
- 快適性
- 法規準拠(規格)
安全性
安全性は、ヘルメット選びで最も重視したいポイントです。ヘルメットは頭部を保護し、事故時の衝撃を吸収するように設計されています。厳しい安全基準に合格したヘルメットほど、安全性の面で信頼できるでしょう。
「PSCマーク」や「JISマーク」を参考にして選んでください。法規準拠の規格が最も安心です。
快適性
快適性もヘルメット選びで重要なポイントです。特に長い距離を走る人ほど、長時間の着用でも疲れにくいものを選びましょう。運転が楽しくなります。
何が快適化は個人によって異なりますが、以下の3つのポイントを意識すると良いでしょう。
- 重さ
- 通気性
- フィット感
要は、装着して疲れないかどうかです。頭の形は一人ひとり違うため、実際にお店で装着してみて、自分に合っているかを確認しましょう。
バイク用ヘルメットの安全規格

バイク用ヘルメットを購入する際に確認しておきたいのが、安全確認です。以下の4つの規格があるので、どういったものか詳しく見ていきましょう。
- PSCマーク
- JISマーク
- SNELL規格
- SGマーク
PSCマーク
PSCマークは、2009年4月1日に施行された「消費者製品安全法」に基づいたマークです。国内の安全基準に達しているかどうかを確認できます。
消費者の生命や身体に危害を及ぼす可能性のある商品は、国の定めた技術基準であると証明できるPSCマークがないと販売できません。
そのため、国内でバイク用ヘルメットと販売されているものには、基本的にPSCマークがついてます。安全基準に達しているかどうかを簡単にチェックできる、1つの目安です。
JISマーク
JISマークは、産業標準化法に基づいて制定されたマークです。品質や性能、安全性、試験方法など、日本工業規格(JIS)が定める基準に適合した商品についています。
ヘルメットの場合、国際基準のテスト方法が採用されているため、クリアできた商品は信頼できます。SGマークと同様に、125以下限定のJIS 1種と、排気量が無制限JIS 2種が認定されているマークです。
SNELL規格
SNELL規格は、アメリカのSNELL財団によって定められている規格です。レーサーであったピート・スネル氏の死亡事故がきっかけとなって設立された財団なので、衝撃吸収と貫通試験において厳しい試験が実施されています。レース主催団体が承認規格としてリストアップするほど、信頼性があります。
5あとにテストの規格を変更するなど、安全基準を徹底してる規格といえるでしょう。
SGマーク
SGマークは、一般財団法人製品安全協会が制定したマークです。JISマークと同じように、排気量が125cc以下のものと、排気量が無制限のものの2種類があります。
SGマークがついた商品の欠陥により事故が起こった場合は、事故賠償が適用される点が特徴です。高い安全基準と製品認証が規定されているからこその、保証でしょう。
バイク用ヘルメットの種類

一口にバイクのヘルメットといっても、様々な種類があります。以下の中から、自分に合ったものを選びましょう。
- フルフェイスタイプ
- ジェットタイプ
- ハーフキャップタイプ
- システムタイプ
- オフロードタイプ
フルフェイスタイプ
フルフェイスタイプは、顔全体を覆うヘルメットです。レースでも使用されているので、見たことがある人も多いでしょう。
商品開発にはレースでの経験も活かされているため、最も安全性が高いヘルメットです。顔や頭部への衝撃を守ってくれます。
ただし視野が狭く、通気性には優れません。重量が重いのも難点です。
ジェットタイプ
ジェットタイプは、顔の下部が開いているヘルメットです。フルフェイスと比べて軽く、広い視野を持てる特徴があります。透明なシールドで顔部分をカバーすれば、走行時の砂や小石から顔面を守れます。開放的なヘルメットを探している人にオススメです。
ただし、保護範囲は限られているため、安全面ではフルフェイスなどと比べると劣ります。街乗りのような利便性と快適性を重視するシーンに向いています。
ハーフキャップタイプ
ハーフキャップタイプは、頭頂部のみをカバーするヘルメットです。半ヘルとも呼ばれています。被ったり脱いだりしやすいのが、最大の特徴です。
ただし、シールドを使用しないため砂や小石が顔にぶつかりますし、風の影響もダイレクトに受けます。顔が覆われる部分も少ないため、安全性も劣ります。特に高速域では命の危険もあるため、被らない方が良いでしょう。
システムタイプ
システムタイプは、フルフェイスタイプとジェットタイプの中間に位置するヘルメットです。外見はフルフェイスなのですが、顔の部分がシールドごと上に開閉できます。安全性と快適性を兼ね備えているため、シーンを選ばずに使える点が魅力です。
利便性の高いヘルメットのタイプですが、フルフェイスヘルメットより重いのが難点でもあります。
オフロードタイプ
オフロードタイプは、その名の通り林道や砂利道を走るのに特化したヘルメットです。悪路を走るシーンを想定しているので、フルフェイスタイプと同等の安全性を持っています。通気性と衝撃からの保護を最優先としてるため、顎の部分が長く設計されているデザインが特徴です。砂や泥、飛び石などから顔を守ってくれるでしょう。
ただし、想定しているのは砂や泥なため、防風性は劣ります。オフロード走行をする際のみ使用するようにしましょう。
バイク用ヘルメットの選び方

バイク用のヘルメットを選ぶ際は、以下の2つのポイントを意識してみてください。安全性を高めながら、快適なヘルメットを選べます。
- 安全規格を確認する
- 必ず試着してサイズを確認する
安全規格を確認する
バイク用ヘルメットを選ぶ際、まず安全規格を確認しましょう。事故の際の安全に直結するので、重要です。今回紹介した以下の規格があるかどうかをチェックしてください。
- PSCマーク
- JISマーク
- SNELL規格
- SGマーク
これらの中でも、PSCマークかJISマークがあれば、安心です。特にPSCマークがないものについては、乗車用ヘルメットとしての販売が法律上禁止されています。買わないようにしましょう。
必ず試着してサイズを確認する
ヘルメットは、購入前に必ず試着してください。自分の頭に合ったものを選ばないと、事故をした際にヘルメットが外れる危険性があります。
警視庁の「二輪車利用者に対するヘルメット及び胸部プロテクターの着用状況調査結果」によると、事故時にヘルメットが外れたことによって、約3割の人が死亡しています。2020年~2022年の3年間では、フルフェイス型とジェット型でも3割以上が外れている状態です。
適切なサイズで頭部を守るためにも、購入前は必ず試着をして、自分に合ったヘルメットを選びましょう。
バイク用ヘルメットの着用は法律で決まっている

バイク用ヘルメットの着用は、法律で定められています。バイクに乗車する際は、必ず被りましょう。その際、ヘルメットが安全規格を見ているかをチェックしてください。安全規格を満たしていないと、死亡事故にも繋がるため重要です。
ヘルメットを選ぶ際も、安全規格を中心に自分の頭に合っているかも確認しましょう。もしもの時に備えて、頭部を守ってくれるヘルメットを着用してくださいね。