バイクのエンジンがかからない原因と対処法を解説!エンジントラブルを防ぐ方法も紹介

バイクのエンジントラブルは突然起こるケースが多いです。
万が一、ツーリング先で急にエンジンがかからなくなってしまったら、どのように対処すれば良いのでしょうか。
本記事では、バイクのエンジンがかからない時の原因と対処法を解説します。
単純なことからエンジンがかからなくなり、修理を依頼せずとも解決できる場合もあるのです。
あらかじめ起こり得る原因を把握しておき、もしもの時にすぐに対処できるようにしておきましょう。
エンジンがかからない時の原因と対処法

ツーリング中に急にエンジンがかからなくなると、慌ててしまいうまく対処できない場合がありますが、まずは落ち着いて原因を突き止めましょう。
エンジンがかからなくなる主な原因は以下の通りです。
- ガソリンが入っていない
- ガソリンが劣化している
- バッテリー上がり・バッテリーの劣化
- ガソリンタンクの燃料コックがオフになっている
- ギアがニュートラルに入っていない
- クラッチを握っていない
- サイドスタンドが降りたままになっている
- 吸気系統の異常
- 排気系統の異常
- 電気系統の異常
- 正常に点火していない
単純にバイクの始動操作を間違えているだけの場合もあり、案外簡単に解決するかもしれません。
バイクのエンジントラブルの原因と対処法について、それぞれ詳しく説明していきますので、心当たりのあるものはないか確認しましょう。
エンジントラブルの原因①ガソリンが入っていない
当然ではありますが、バイクの燃料であるガソリンがなければエンジンはかかりません。
ですが、焦っているとなかなかガス欠に気付かないものです。
そのため、エンジンがかからなかった場合、はじめにガソリンの残量を確認してみるのが良いでしょう。
エンジントラブルの原因②ガソリンが劣化している
たとえガソリンが入っていても、そのガソリンが劣化していれば、エンジンがかからない原因となります。
バイクに長期間乗らないでいると、ガソリンが劣化していき、ドロドロになって燃料コックやキャブレターなどに詰まってしまい、動かなくなってしまうのです。
この場合、詰まりを解消し、古いガソリンを抜いて新しいガソリンに入れ替える必要があります。
エンジントラブルの原因③バッテリー上がり・バッテリーの劣化
バッテリーが上がってしまったり、バッテリーが劣化したりしていると、セルが回らなくなりバイクのエンジンがかからなくなります。
- セルが回らず無音
- セルの回転が弱い
- ランプの点灯が弱い
- セルを回すと「カチカチ」「ジジジ」と音が鳴ってエンジンが始動しない
上記いずれかの症状が確認できた場合、バッテリーの不具合を疑いましょう。
セルの回りが弱かったり、ランプの点灯が弱い場合、バッテリーを充電するとエンジンがかかる場合があります。
しかし、バッテリーを2〜3年程度使っている場合、寿命が近くなっている可能性が高く、その場合はバッテリーを交換しなければなりません。
エンジントラブルの原因④ガソリンタンクの燃料コックがオフになっている

キャブレターモデルのバイクには、ガソリンタンクからキャブレターにガソリンを流すための燃料コック(ガソリンコック)があります。
このコックがオフになっているとガソリンが流れないため、エンジンがかかりません。
自分でオフにしたつもりはなくても、何かの拍子でオフになってしまうこともあるので、エンジンがかからないときは、燃料コックがON、もしくはRES(リザーブ)に入っているかを確認しましょう。
エンジントラブルの原因⑤ギアがニュートラルに入っていない
ギアがニュートラルに入ってなければエンジンがかからない車種もあります。
ニュートラルに入れたつもりでも、1速や2速に入ってる可能性があるため、ニュートラルに入っているか確認してエンジンをかけてみてください。
エンジントラブルの原因⑥クラッチを握っていない
車種によっては、セーフティとしての機能が働き、クラッチを握っていないと、エンジンがかからない場合があります。
クラッチを握りながらセルボタンを押してみましょう。
エンジントラブルの原因⑦サイドスタンドが降りたままになっている
最近のバイクは、ギアが入っている状態でクラッチを握りセルボタンを押しても、サイドスタンドが降りたままにしているとエンジンがかからないようになっているタイプが多いです。
これは、誤発進や転倒といったトラブルを未然に防止するための安全装置が備わっているためです。
特に、クラッチ操作が不要なスクータータイプの車種はサイドスタンドが出しっぱなしになっているとエンジンをかけられない仕様になっている場合が多いため、スタンドをしっかりはらってエンジンを始動させましょう。
エンジントラブルの原因⑧吸気系統の異常

ガソリンに異常がなければ、吸気系統に問題がある可能性があります。
エアクリーナーボックスに水や汚れが詰まっていれば、空気を取り込めなくなり、エンジンがかからなくなります。
また、吸気口を繋ぐ部品であるインシュレーターに穴が空いていたり、亀裂が入っていたりした場合も、空気を取り込めずエンジンがかからないため、交換しなければなりません。
吸気を疑う場合は、エアクリーナーを外し、キャブレターにガソリンがきているか、詰まりはないかを確認しましょう。
エンジントラブルの原因⑨排気系統の異常
吸気とセットとなる排気系統の異常もエンジントラブルの原因となり、問題なく空気を吸えても、吐き出せなければエンジンはかかりません。
昔の2ストロークエンジンでは、オイルでマフラーが詰まるのは良くありましたが、4ストロークのエンジンでマフラーが詰まるのは珍しいです。
しかし、可能性はゼロではないため、念の為確認しておくと安心です。
排気の異常を疑うなら、手をマフラーの排気口にかざしたうえでセルを回し、手に風が当たるか確認してみましょう。
エンジントラブルの原因⑩電気系統の異常
エンジンがかからない原因として、電気系統の異常も考えられます。
エンジンの始動には以下のヒューズが関わっています。
- 燃料ポンプ
- 点火系
- イグニッション系
- センサーのヒューズ(インジェクションタイプのみ)
キーを入れた際に電気が全くつかない場合は、メインヒューズが切れている可能性があるため、ヒューズボックスを空けてヒューズが切れていないかどうかを確認してみましょう。
コンピューターの故障など目に見えないトラブルの場合は、ショップで判断してもらう必要があります。
エンジントラブルの原因⑪正常に点火していない
スパークプラグが劣化して火花が飛ばず、エンジンがかからなくなるケースがあるため、スパークプラグが正常に点火しているかをチェックします。
点火チェックの方法は以下の通りです。
- プラグキャップを取り外す
- プラグをプラグレンチで取り外す
- プラグを再度プラグキャップに装着する
- プラグの先端をバイクの金属部分に接触させる
- セルを回す
これで火花が飛べば正常ですが、火花が飛ばない場合は新品のプラグに交換する必要があります。
セルが回るのにエンジンがかからない時の原因と対処法

「セルが回るのにエンジンがかからない」といった場合、理由が分からず焦ってしまいがちですが、意外と単純な理由でエンジンがかからないこともよくあるのです。
ここでは、セルが回るのにエンジンがかからない時にありがちなパターンと対処法をご紹介します。
キルスイッチがオフになっている
よくある原因として、キルスイッチがオフになっているという場合です。
こちらの場合、キルスイッチをオフからオンに変えるだけで解決します。
焦っていると初歩的なミスを見逃しがちですが、落ち着いて対処しましょう。
「キュルキュル」と音が鳴る
セルのモーターは回るのにエンジンがかからず、「キュルキュル」と音だけする場合があります。
エンジンが始動しない際のセルモーターの回転音としてこのような音が出ますが、以下の原因が考えられます。
- バッテリーの不具合(電圧低下や寿命)
- ガソリンの劣化や供給路の詰まり
- 点火系統のトラブル(点火プラグの汚れや点火タイミングのズレ)
- セルモーターの故障や不具合
バイクがキュルキュルと音が鳴るだけでエンジンがかからない場合はこれらの原因を疑ってみると良いでしょう。
寒い時期にチョークを引いておらず燃料が薄くなっている
チョークは、冬場などで気温が低いときや、長期間エンジンをかけていなかった時など、エンジンの始動が困難な場合に使用します。
寒冷地でよくある症状ですが、寒い時期にチョークを引かなければ燃料が薄くなり、エンジンがかかりづらくなってしまうのです。
そのため、チョークを引いて燃料を濃くする必要があります。
【チョークの正しい引き方】
- 始動時はチョーク弁を目一杯引く
- 回転数が落ち着いてきたら徐々にチョークを戻していく
- 普段のアイドリングに達したら、完全に下ろす
- チョークをオフにしても回転が安定したら完了
エンジントラブルを未然に防ぐ方法

バイクの扱い方に気を遣えば、突然エンジンがかからなくなるといったトラブルを未然に防ぐことができるかもしれません。
ここでは、バイクのエンジントラブルを防ぐ方法をご紹介します。
放置せず定期的にバイクに乗る
長期間バイクに乗らないでいると、バッテリーが上がってエンジンがかからないなどのトラブルが発生しやすくなります。
そのため、バイクを正常に維持するためにも、なるべく放置せず、2週間に1度、30分以上は乗るようにしましょう。
【バイクを乗る頻度が少ない場合に起こり得るトラブル】
- キャブレター内に残ったガソリンが劣化
- エンジンオイルに水分がたまり劣化
- バッテリーの劣化
- 長期間の駐車でタイヤや車体に圧力がかかる
- 車体にサビが出やすくなる
室内にバイクを保管する
バイクは車と違い、エンジンやマフラーなどの主要パーツがむき出しになっている状態です。
そのため、外でバイクを保管していると、雨や風、砂埃、紫外線などの影響を受けて、バイクを動かしていないにも関わらず、パーツの劣化が進んでしまいます。
そのため、できるだけ外気の影響を受けないように室内に保管しましょう。
また、冬季保管する場合、車体からバッテリーを本体ごと外して冷暗所で保管してバッテリーの寿命を長持ちさせ、2~3ヵ月に1回は補充電し、放電による性能低下を防ぐのがおすすめです。
定期的にメンテナンスを行う
バイクの定期的なメンテナンスも、エンジントラブルを防ぐ方法の1つです。
なぜなら、バイクには多くの消耗品が使われているため、バイクを良好な状態に保つためにも、パーツそれぞれの交換目安を把握しておく必要があるからです。
バイクの外側から確認できないパーツもあるため、点検を受けて状態を確認してもらう必要があります。
特に、車検がない250cc以下のバイクは、つい定期的なメンテナンスを忘れてしまいがちですが、意識的に法定点検を受けるようにしましょう。
ロードサービス付きの任意保険に加入する

トラブルの防止とは異なりますが、故障や事故など万が一のトラブルに備えて、ロードサービス付きの任意保険に加入するのがおすすめです。
ロードサービスとは、走行中、故障などのトラブルが発生した際に支援を受けられるサービスで、一般的に以下のサービスを受けられます。
- バッテリー上がりの応急対応
- ガス欠時のガソリン提供
- レッカーサービス
- 宿泊補償・帰宅補償
バイクでツーリングする際にトラブルに見舞われることがあっても、このようなサービスがあると安心です。
バイクのエンジンがかからないのには理由がある!

ご紹介しましたように、バイクのエンジンがかからないのは様々な原因が考えられ、些細な要因で一時的にエンジンがかからなくなっている可能性もあります。
1つずつ原因となり得るものを確認していけば、簡単に解決できるかもしれません。
ただし、ガソリンタンクを外す必要があるなど、ある程度の技術が必要な場合は、自分で直そうとすると、かえってバイクを壊してしまう原因にもなります。
そのため、自信がないときは下手に対処を試みるのではなく、ショップに依頼してプロによる点検・修理をしてもらうのがおすすめです。
また、バイクの扱い方が悪ければ、エンジントラブルの原因にもなりますので、保管方法やメンテナンスなど、適切な方法でバイクを扱っていただけたらと思います。