バイクタイヤの速度記号一覧&表記の読み方の初心者向けガイド

バイクのタイヤには、「150/80 R 16 M/C 71 V」というようなアルファベットや数字の羅列があります。
これらのアルファベットや数字には、ひとつひとつ意味があり、タイヤの細かいスペックを表しているものです。
速度記号もこの羅列に含まれており、アルファベット
1文字で表記されています。
タイヤの速度記号を確認するには、どこに速度記号の表示があるのかを知ると共に、アルファベットが何km/hを意味しているのかを知らなければいけません。
速度記号やその他のアルファベットや数字の意味を知り、バイクタイヤについている表記を読み取れるようにしてみましょう。
タイヤ選びに役立つようになりますので、知識として確認しておきましょう。
バイクタイヤの速度記号とは
バイクタイヤをよく見ると、サイドウォールに数字や記号が記されています。
タイヤの幅や扁平率などが記されており、一目でタイヤのスペックを確認できます。
その数字が羅列された部分のひとつに、速度記号も記されています。
速度記号とは、負荷荷重と内圧の関係に基づいた、タイヤが走行できる最大速度を指します。
平たく言うと、そのタイヤで出せる最大速度を示しているものです。
ただし速度記号は数字ではなく、アルファベット記号で記されていますので、読み方のルールを知っておく必要があります。
バイク表示で示されている内容
バイクタイヤのサイドウォールに記されている数字の中の速度記号だけ読むのではなく、他の数字の意味もわかるようにしておいた方がいいでしょう。
バイクタイヤに記されている内容は、以下のような12種類があります。
- タイヤ幅(mm)
- タイヤの扁平率(%)
- ラジアル構造
- リム径(インチ)
- 荷重指数・ロードインデックス
- 速度記号
- タイヤ幅(インチ)
- プライレーティング(タイヤの強度)
- モーターサイクル用タイヤの表示
- タイヤ幅記号
- ベルテッドバイアス構造
- 製造年号の表示について
①タイヤ幅(mm)
タイヤ幅とは、タイヤを縦にした際の幅を指します。
単位はmmで統一されており、タイヤの側面の模様・
文字・リムガード等を省いた純粋なタイヤ幅を記しています。
タイヤは8層でできているため、断面幅と呼ばれる場合もあります。
②タイヤの扁平率(%)
扁平率とは、タイヤの高さに対する高さの比率を表した数値です。
単位は%で、「扁平率(%)=(タイヤの高さ / タイヤの幅) ×100」という計算式で計算します。
タイヤの扁平率は乗り心地や燃費だけでなく、ハンドリングにも影響します。
扁平率が高いとクッションが厚くなり乗り心地が良くなり、一方で扁平率が低いと見た目がスタイリッシュになりハンドル操作がしやすくなるというメリットがあります。
③ラジアル構造
「R」という表記があれば、そのタイヤはラジアル構造であるという表示になります。
表記がなければ、バイアス構造のタイヤとなります。
ラジアル構造とは、タイヤの骨格部分にあるゴムでできたカーカスが中心から放射線状に配置された構造です。
一方バイアス構造は、カーカスが斜めに編み込まれています。
サイドウォールが柔らかいため、路面追従性に優れており、高速走行の乗り心地が良いといわれています。
ラジアル構造のタイヤは複雑な作りのため、高額になる傾向があります。
④リム径(インチ)
リム径とは、タイヤを付けていない状態のホイールの直径です。
単位はインチで表され、リム径にタイヤの厚みを加えるとタイヤ幅になります。
⑤荷重指数・ロードインデックス
荷重指数・ロードインデックスとは、規定の条件内でタイヤが支えられる最大負荷能力を示す数値です。
荷重指数・ロードインデックスで示されている数値と負荷能力の対応表は、以下を確認してください。
荷重指数 | 荷重(kg) | 荷重指数 | 荷重(kg) |
---|---|---|---|
30 | 106 | 56 | 224 |
31 | 109 | 57 | 230 |
32 | 112 | 58 | 236 |
33 | 115 | 59 | 243 |
34 | 118 | 60 | 250 |
35 | 121 | 61 | 257 |
36 | 125 | 62 | 268 |
37 | 128 | 63 | 272 |
38 | 132 | 64 | 280 |
39 | 136 | 65 | 290 |
40 | 140 | 66 | 300 |
41 | 145 | 67 | 307 |
42 | 150 | 68 | 315 |
43 | 155 | 69 | 325 |
44 | 160 | 70 | 335 |
45 | 165 | 71 | 345 |
46 | 170 | 72 | 355 |
47 | 175 | 73 | 365 |
48 | 180 | 74 | 375 |
49 | 185 | 75 | 387 |
50 | 190 | 76 | 400 |
51 | 195 | 77 | 412 |
52 | 200 | 78 | 425 |
53 | 206 | 79 | 437 |
54 | 212 | 80 | 450 |
55 | 218 |
⑥速度記号
速度記号とは、負荷荷重と内圧の関係に基づいた、タイヤが走行できる最大速度を指します。
速度記号と最高速度は、以下の表でご確認ください。
速度記号 | 速度(km/h) | 速度記号 | 速度(km/h) |
---|---|---|---|
A1 | 5 | K | 110 |
A2 | 10 | L | 120 |
A3 | 15 | M | 130 |
A4 | 20 | N | 140 |
A5 | 25 | P | 150 |
A6 | 30 | Q | 160 |
A7 | 35 | R | 170 |
A8 | 40 | S | 180 |
B | 50 | T | 190 |
C | 60 | U | 200 |
D | 65 | H | 210 |
E | 70 | V | 240 |
F | 80 | Z | 240超 |
G | 90 | W | 270 |
J | 100 | Y | 300 |
⑦タイヤ幅(インチ)
①のタイヤ幅とは単位が異なり、mmで表示するかインチで表示するかの違いです。
⑧プライレーティング(タイヤの強度)
プライレーティングとはタイヤの強度を表す数値で、
数字とアルファベット「PR」で表記されます。
数字が大きくなるほど、負荷能力が高いという意味になります。
一般的なタイヤにはあまり表記のない項目で、バスやトラックなどのタイヤで使われる数値です。
⑨モーターサイクル用タイヤの表示
モーターサイクル用のタイヤだと「M/C」と表示されます。
13インチ以上のモーターサイクル用のタイヤに表示されるもので、乗用車用タイヤとの混同を防ぐ目的で、リム径の後ろに「M/C」と表示されます。
⑩タイヤ幅記号
タイヤ幅を記号で表す場合は、以下の表のようにアルファベットを用いて表示します。
表示アルファベット | タイヤ幅(mm) |
---|---|
H | 80 |
J | 90 |
M | 100 |
R | 120 |
T | 130 |
U | 140 |
⑪ベルテッドバイアス構造
バイアスに配置されたカーカスを、ベルトで締め付け補強した構造のタイヤをベルテッドバイアス構造といいます。
ラジアル構造とバイアス構造の中間的な性格で、セミラジアルとも呼ばれます。
「B」という表記があれば、ベルテッドバイアス構造という意味です。
製造年号の表示について
タイヤの製造時期を示す、製造年号が左側に表示されています。
数字4桁で表示されており、例えば「1716」と表示されていれば2017年の16週目に製造されたという意味になります。
タイヤサイズ表記の種類
タイヤサイズの表記の方法は4種類あり、それぞれ表記された内容や順番が異なっています。
上記のタイヤのサイズ表記の基礎知識を持って、4種類のタイヤサイズ表記の見方について確認していきましょう。
- ラジアルメトリック表示
- バイアスメトリック表示
- バイアスインチ表示
- アルファベット表示
ラジアルメトリック表示
ラジアルタイヤでは、ラジアルメトリック表示という方法で表記されます。
ラジアルメトリック表示の例)150/80 R 16 M/C 71 V
このような数字の羅列でタイヤサイズが表記されており、このような意味があります。
- 150(①タイヤ幅)
- 80(②扁平率)
- R(③ラジアル構造)
- 16(④リム径)
- M/C(⑨モーターサイクル用タイヤの表示)
- 71(⑤荷重指数・ロードインデックス)
- H(⑥速度記号)
バイアスメトリック表示
バイアスメトリック表示は、タイヤ表示の中でも一般的な表示方法です。
バイアスメトリック表示の例)150/80 – 16 M/C 71 H
ラジアルメトリック表示と同じように、以下のような意味となります。
- 150(①タイヤ幅)
- 80(②扁平率)
- -(③ラジアル構造)
- 16(④リム径)
- M/C(⑨モーターサイクル用タイヤの表示)
- 71(⑤荷重指数・ロードインデックス)
- V(⑥速度記号)
バイアス構造の場合は、構造を示す部分に-(ハイフン)が用いられ、このようにハイフンの表記があればバイアス構造のタイヤであるとわかります。
バイアスインチ表示
最近のタイヤはメトリック表示が多いですが、90年代前半に設計されたタイヤでインチ表示されている場合は、バイアスインチ表示でタイヤサイズが示されています。
バイアスインチ表示の例)3.00-21 51 P
バイアスインチ表示で表示された数字の意味は、このように読みます。
- 3.00(⑦タイヤ幅)
- –
- 21(④リム径)
- 51 (⑤荷重指数・ロードインデックス)
- P(⑥速度記号)
扁平率の表示がありませんが、概略90~100シリーズとなっています。
アルファベット表示
アルファベット表示という方法で表記されたタイヤサイズは、このように読みます。
アルファベット表示の例)MT/90 B 16 M/C 71 H
- MT(⑩タイヤ幅記号)
- 90(②タイヤの扁平率)
- B (⑪ベルテッドバイアス構造)
- 16 (④リム径(インチ))
- M/C (⑨モーターサイクル用タイヤの表示)
- 71 (⑤荷重指数・ロードインデックス)
- H(⑥速度記号)
バイクタイヤの速度記号はなぜ重要なのか
バイクタイヤの速度記号は、なぜ重要なのでしょうか。
速度記号の違うタイヤに交換するとどのような違いがでるのかを、考えてみましょう。
- 速度記号以上のスピードを出すと
- 速度記号と乗り心地の関係
- 速度記号とハンドリング
- 速度記号と燃費
- 速度記号とロードノイズ
- 速度記号と車検
速度記号以上のスピードを出すと
速度記号がAのようにスピードが出ないタイヤは柔らかく、Yに近づくほど硬く頑丈になっていきます。
もし速度記号の表示以上のスピードを出してしまうと
タイヤが耐えられず、バーストしてしまう危険があります。
公道では法定速度を守り、スピードが出せる場所でも速度記号以上のスピードは出さないようにしてください。
速度記号と乗り心地の関係
速度記号の違いはタイヤの硬さに影響していますので、乗り心地という意味ではタイヤが柔らかい方が乗り心地が良いです。
つまり速度記号がAに近いほど柔らかく、振動が伝わりにくいため、乗り心地が良いといえます。
ただしバイクタイヤの乗り心地は、速度記号や硬さだけで断言できるものではありません。
乗り心地を重視するなら、サイドウォールが柔らかいラジアルタイヤを選ぶのも方法のひとつです。
速度記号とハンドリング
ハンドリングという意味では、
速度記号がYに近づく方が運動性能が高いと考えられます。
タイヤが硬い方が、ハンドルの動きをタイヤにダイレクトに伝えられるからです。
ただし速度記号T(190km/h)のタイヤとH(210km/h)のタイヤのハンドリングを比較しても、そこまで違いは感じられないかもしれません。
速度記号と燃費
バイクの燃費という面で考えてみると、
タイヤが硬い方が燃費が良いといえます。
タイヤが硬いと道路との接地面が少なくなり、抵抗が小さくなるためです。
ただしバイクの燃費はタイヤの種類だけでなく、タイヤの空気圧や他部分のメンテナンスも関係してきます。
速度記号とロードノイズ
振動が大きくボディに伝わりやすいので、
タイヤが硬い方がロードノイズが大きくなると考えられます。
ただし速度記号ではそこまでロードノイズに差がないと考えておいていいでしょう。
ロードノイズが気になる場合は、ノイズ低減グッズを使うなど対策を行う方が良いでしょう。
速度記号と車検
タイヤ交換の際には、タイヤサイズが合っていれば速度記号は問題ありません。
車検の場合でも速度記号が純正のタイヤと異なっていても、大丈夫です。
バイクタイヤの選び方
バイクのタイヤはサイズが合っていれば履けますが、用途も考えてみると乗り心地の良いタイヤが見つかるかもしれません。
例えば、通勤や通学で主にバイクに乗るのであれば、
バイアス仕様のスタンダードタイヤが向いています。
ストップ&ゴーの連続で摩擦が多くタイヤの減りが速くなるので、耐久性や排水性を考えたタイヤ選びをしましょう。
一方、休日のツーリングがメインであれば、接地感や
グリップ性能にも優れるラジアルタイヤがいいでしょう。
技量や好み、車両によっても異なりますが、
用途に合わせたタイヤ選びをしていきましょう。
バイクタイヤ表記の読み方を活用しよう
ご紹介したようなバイクタイヤの表記の意味がわかると、タイヤ選びも楽しくなります。
自分がどんなタイヤを履いているのかを確認できるようになり、自分に合うような好みのタイヤ選びができるようになります。
この表記が読めればタイヤの構造や特徴もわかるようになりますので、読み方の基本を覚えておくようにしましょう。